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囲み取材レポート 東京公演初日レポート

囲み取材レポート


左から:安寿ミラ、剣幸、鳳蘭、峰さを理、杜けあき
<撮影:村尾昌美>

――明日から初日を迎えますが、皆さんの今の心境をお聞かせください。

安寿:稽古はたいへんでしたけれども、出来上がったものを早く皆さまに見ていただきたいという気持ちでいっぱいです。

:自分が出ていることをいつも忘れてしまうぐらい、お稽古場で皆さんの場面をみて、宝塚ってやっぱり改めてすごいなって感じながら、100年の歴史を感じて、そして、明日へのステップも感じながら、皆さんに懐かしいなと思うと同時に200年300年に向けての希望みたいなものをみていただけると思います。

:宝塚歌劇100周年前夜祭にふさわしい、私たち宝塚卒業生のすばらしいレビューができたと思います。ぜひご覧ください。

:お稽古は本当に大変でしたが、今やっと楽しくなりつつなりました。みんな和気あいあいというか、とても楽しい舞台になると思います。ぜひ、ご期待ください。

:宝塚を卒業してから、20年30年たっているにもかかわらず、宝塚のときのようなダンスや出番があって、ほんとにハードな舞台なんですけど、やればできることに・・・。

:そーお?(笑)

:(笑)できているかどうかわからないんですが、体力勝負で、OGみんなでがんばりたいなぁと思っております。

――それぞれの見どころ、私のココを見てくださいというところを教えていただけますか。

:2幕の頭に、ジャズの誕生というシーンがあるのですが、私とウタコ(剣幸)さんと杜ちゃんとの3人が、ディーバ・歌の女神というお役をいただきまして、とても難しい甲斐先生のジャズ曲を3人で手分けして歌っております。それから3人での素晴らしいハーモニーもぜひ、ね。

:がんばります!

:3人のディーバというかバーバというか(笑)、一からがんばっておりますが(笑)。私は個人的に、同期生の大浦が・・・宝塚を卒業してから歌った歌を、歌わせていただきます・・・、一緒に100周年を迎えているような気分です。

:久しぶりに 峰先生の振り付けで日本物の場面がありまして、宝塚は日本物も財産のひとつだと思うんですけど、久しぶりに白塗りをして、若衆姿というのを、宝塚を卒業して初めてやらせていただくことが自分の思い出になりますし、一生でもう最後だと思うので、それが見ていただきたいです。

安寿:私はさきほどの3人の素晴らしいコーラスの方たちのバックで踊らせていただくのですが、「幸福を売る人」っていう曲で、濃い鳳さんの後に(笑)一番薄い私が出るので、その落差も見ていただけたらなと思います。

全員:(笑)。

――OGの方が一堂に集まるとどんな感じになるんでしょうか?稽古場はどんな感じでしたか?

:なんだかタイムマシンに乗ってるみたいで、それまであったいろ~んなことを全部忘れて、あのころと同じみたいなというか。過去が消えちゃったというか。タカラジェンヌって結構、過去がないんです(笑)。また戻って休憩しちゃった、という感じです。

――この舞台は100周年前夜祭ということですが、皆さんにとって来年100周年を迎える宝塚歌劇をどのように感じますか?

:100周年というこの時期に、元気に舞台に立てているのがとても幸せです。光栄です。

:そうですね。100年に一度ですから・・・。

:次150年だから、もういないの!(笑)

:100年にめぐり合ったことが幸せです。

――意気込みをお願いいたします。

:意気込みというと、力が入っちゃうから、年齢にふさわしく、余裕のある舞台にしたいと思いますので、自然体で私はいきます。

:右に同じです。

:ほんとにそうなんですけど、とにかく、若くないので怪我しないように(笑)、元気に最後までやりとげたいなぁと思ってます。

:100年の間にいろんな方が携わってこられたとおもいます。懐かしい歌もあるし、新曲もあるし、バラエティー豊かなので、100年にふさわしい舞台だと思います。

安寿:素晴らしい先輩方に胸を借りて、がんばります。

――この公演の稽古を通して改めて感じた宝塚への想いをひとことずつお願いいたします。

:私は、たくさんの可愛い妹たちがいるような気がしています。一人だけ姉がいますけど(笑)。宝塚ってそういう、同じ釜の飯、じゃないけれど。そんな感じです。

:私は、ツレ(鳳)ちゃんの顔を見ると、星組時代の峰に戻って・・・。

:幼いころの(笑)。

:はい、研2の峰に戻ってしまう自分がいるんですが、若い人たちというかダンサーの人たちのダンスとかを見ていると、やっぱり宝塚ってすごいんだなぁって、改めて宝塚の良さを稽古場でひしひしと感じました。

:こういうのも上級生順というのがすごいなとおもいますけれども(笑)。日本物もありますし、私はツレさんがトップのときに初舞台を踏ませていただいたんで、その方と一緒に同じステージに立っていられるなんて不思議だしうれしいし、生「セ・シャルマン」を横で聴けて、誰よりもファンのように横ではしゃいでいましたけども、そういうのをみなさんと一緒にできるっていうのが、宝塚の良さなのかなと思いました。

:毎日スペシャルなゲストの皆様が、スターの面々が、日替わりで出てくださるので、袖では私たちもキャーキャー言って、見ているくらいで、そういう楽しみがあって、ほんとに宝塚の層の厚さと、すぐ下級生に戻れる自分たちにも笑いながら、楽しくすごしたいと思います。

安寿:現役時代では、ここにいることも考えられないようなシチュエーションのところにいさせていただいておりますので、稽古場でも、皆さんお優しくて温かくて、下級生も可愛くて、ほんとにメンバーがひとつになっているなと感じる稽古場でした。

東京公演初日レポート

タカラヅカのトップスターが集結した、OGによる夢の祭典TAKARAZUKA WAY TO 100th ANNIVERSARY FINAL『DREAM, A DREAM』が、10月12日東急シアターオーブにてついに幕を開けた。宝塚歌劇創立100周年を記念して梅田芸術劇場がお送りしているシリーズの6作目、ラストを飾る本公演は、レギュラー&ゲストを合わせると、歴代トップスターが総勢32名も登場する豪華レビュー&ショーとなった。

ACT1は題してREVUE。幕開きから宝塚きってのコメディエンヌ未沙のえると出雲綾が観客に扮して客席から舞台へとコミカルに登場すると、舞台上には、輝く純白の衣装に身を包んだトップスターが続々と姿を現した。峰さを理、剣幸、杜けあき、安寿ミラ・・・。それぞれ女優としての今の姿に一番似合う、個性を生かした華麗なデザインのロングドレスやパンツスタイル。

現役時代なら白燕尾での勢ぞろいという場面に匹敵するだろうか。湖月わたる、彩輝なお、朝海ひかると、トップスターが次々と登場。

もちろん娘役トップも続く。紫とも、星奈優里、彩乃かなみ、紫城るい、初風諄…、そのほか若手のOGたち。そして『DREAM, A DREAM』のプロローグ曲とともに、トップ・オブ・トップの貫禄を携えて鳳蘭が堂々登場。目がくらむようなその豪華さに息を呑んでいると、会場すべての人がかつて一度は味わった、タカラヅカの雰囲気たっぷりの懐かしいレビューが目の前に繰り広げられる。黒にショッキングピンクのラインが入った衣装、日替わりシーンのアラビア風衣装、時代を感じるクラシカルなドレス、チラシにも使われた印象的な白黒のデザイン燕尾服など、宝塚に負けず劣らず衣装も目に楽しいものばかり。ピンクの羽をつけたロケットや湖月わたるのダルマ姿にも目を見張り、「ここは宝塚大劇場?」と、宝塚の世界にトリップした気分に。

おなじみの曲も目白押しだ。パリを中心にした<a la Paris>の場面では、「メモアール・ド・パリ」や「天国と地獄」でのカンカン、「サ・セ・パリ」などが歌われた。モノトーン燕尾に身を包んだ<SWALLOWTAIL>の場面では、鳳蘭の代表曲「セ・シャルマン」「セ・マニフィーク」でいきなり盛り上がり、全員参加の「エル・クンバンチェロ」、そして名作『ノバ・ボサ・ノバ』でクライマックスに!
さらに1幕ラストには、回替わりのラストシンガーによる歌の場面がついている。初日は、鳳蘭が「愛の宝石」で喝采を浴びた。

ACT2はSHOW。幕が開くと、ゲストピアニストの麻路さきがピアノを弾き始める。周りには、ダンスを得意とするトップスター、安寿ミラ、湖月わたる、星奈優里、朝海ひかるらがジャズの妖精として華を添える。そこに3人のディーバ、峰さを理、剣幸、杜けあきがシンガーとして加わって、<ジャズの誕生>という場面が始まった。ジャズの歴史をさかのぼりながら、ジャズの数々のシーンを展開していくという、見ごたえたっぷりの長丁場の場面。麻路さきもピアノだけではなく、ジャズの妖精に誘われ、歌やダンスも披露。

3人のディーバも伸びのある声でたっぷりと歌い、ダンサーたちもしなやかに踊る。宝塚を卒業してからも極め続けてきた、トップスターたちのそれぞれの得意分野。特に、ダンサーたちのクオリティの高いパフォーマンスからは、ひと時も目が離せなかった。
2幕には、ドリームゲストの水夏希、安蘭けいのどちらかが必ず登場するのだが、初日は水夏希。『カラマーゾフの兄弟』から、「青春の終わりに」を披露。ダンサー・安寿ミラ、湖月わたる、朝海ひかるらと踊るシーンなどもあり、得した気分にさせてくれる。
<ジャズメドレー>の「ALEXANDER’S RAGTIME BAND」は、ダンサー勢ぞろいの2幕ラストにふさわしい、お洒落で楽しい場面に仕上がっていた。

ACT3はTAKARAZUKA。チョンパの幕開きの<JAPANOLOGY>の場面は、日本物かと思っていたらいきなりド肝を抜かれた。和洋折衷で、いわゆる宝塚の日本物とはちがい、洋風メイクにアレンジ着物、色彩とりどりの和傘…。このテイストで進むのかと思いきや、次の場面では、本格的な若衆の化粧を施した峰さを理、杜けあき、彩輝なおらが登場。「春の宝塚音頭」からはじまり、今回のオリジナル「阿国風流」と、峰さを理振り付けの見事な日本物のシーンが繰り広げられた。その美しさは絵巻物のように圧巻! そして、宝塚の日本物というのは、他ではみられない貴重な財産なのだなと再認識させられた。

次の<TAKARAZUKA FOREVER>の場面からは、一転して洋物に戻る。おなじみの「この愛よ永遠に」などの名曲を聴いたあとには、お待ちかねのスペシャルゲストコーナーが!
初日は、榛名由梨と汀夏子。今回の公演では年長ゲストにあたるふたりが、スパンコールの衣装で登場。それぞれ「白い朝」(榛名)、「丘の上のジョニー」(汀)を披露して往年のファンたちを湧かせた。
最後の<愛>の場面では、『華麗なる千拍子』から「幸福を売る人」、『パリゼット』から「すみれの花咲く頃」「おお宝塚」などいまさら語るまでもない名曲場続いて、世代を超えて会場は一体に。と同時にそれぞれの衣装が個性的で新鮮に映った。宝塚の本公演ならば、同じ色・形でそろえられた衣装でフィナーレを迎えるのが当然だが、『DREAM, A DREAM』のフィナーレは、現在の姿を映し出す鏡のように、全員が己の輝きを引立たせる衣装に身をまとっていた。それは、退団後それぞれの道を歩んできたことの象徴であるかのようだ。
そして、改めて感じたのは、さすがにトップを極めた方ばかりとあって、磨き上げられた技術の高さと圧倒的なスターとしての魅力は、衰えないばかりかさらに増しているということ。深く艶やかな歌声しかり、表現力豊かなパフォーマンスしかり、体全体から放たれるオーラしかり。宝塚のOGたちのパワーは、並大抵ではないのだ。
懐かしいけど、新たな部分もたくさん盛り込まれていた『DREAM, A DREAM』。宝塚100周年まであとわずか、このような強力なOGたちがいる限り、100周年ののちも、さらに道は続いていくことを確信できた公演初日だった。

<取材・文/中村恵美(アンファン)>
<撮影:村尾昌美>