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初日レポート

東宝版『エリザベート』の感動も冷めやらぬ2012年10月15日。
ウィーン版『エリザベート』が日本に帰ってきた!

本公演は、1994年よりエリザベートを演じ、「出演回数世界一」を誇る、マヤ・ハクフォートの「最後のエリザベート」公演でもある。唯一無二の歌声と演技力を持つマヤのエリザベートは、前回の来日時から更に深みを増し、実在のエリザベートの人生を垣間見ているよう。とりわけ2幕の鬼気迫るような熱演には、心が震えずにはいられない。先日まで東宝版『エリザベート』に日本語で出演していたマテ・カマラスは、東宝版とは一味も二味も違ったトート像を見せてくれる。前回の来日時よりも、時に挑戦的に、時にセクシーに、緩急自在に迫るマテトートには、エリザベートならずとも思わず心惹かれてしまう。

さらに、フランツ・ヨーゼフ役には、アンドレ・バウアー。抜群の安定感を誇る甘い歌声に聴きほれること間違いなし。ルキーニ役には、前回の来日公演でも好評を得た、ブルーノ・グラッシーニ。スマートな身のこなしとカリスマ性で客席を大いに盛り上げる。ルカス・ぺルマンは、クリアな歌声に影のある美しさで、孤独で繊細な皇太子ルドルフそのもの。作曲家のリーヴァイ氏が「彼以上のルドルフはいない!」と認めるのもうなずける。こんな豪華メンバーがここ日本でそろってしまうだけでも鳥肌もの…!美しい歌声を堪能するのはもちろん、イケメンぞろいなのでオペラグラスも必須。また、意外なキャストが意外な場面に登場しているシーンもあるので、隅々までお見逃しなく!

日本ではもはや大人気ミュージカルの代名詞として挙げられることも多い『エリザベート』。
しかし、本場ウィーン版のキャストがここ日本で勢ぞろいするのは、実は、「奇跡の来日」と呼ばれた2007年以来5年ぶり。
そして、今回は、衣裳・ウィッグなどはそのままに、日本だけのスペシャルヴァージョンとして新たな演出を施し、全シーン・全曲を再現。そのため、『エリザベート』の作品の世界感はそのままに、素晴らしい音楽をより深く堪能できる作品となっている。何といっても、本場キャストの圧倒的な歌声と、舞台上の28人編成のフルオーケストラの贅沢なコンビネーションは息をのむばかり!



東宝版や宝塚歌劇版で既に『エリザベート』に詳しい方は、ウィーン版との歌詞や衣装・演出の違いを楽しむのもおススメ。とりわけ、ドイツ語の美しくも迫力のある響きや、字幕に映し出されるウィーン版ならではの退廃的な歌詞は、新鮮な驚きが多く、『エリザベート』の更なる魅力に出逢えるはず。
そして、今回、ウィーン・ライムント劇場で現在公演中の『エリザベート』でウィーン版としては初めて取り入れられた、“愛と死の輪舞”も登場。日本ではお馴染みの1曲がエリザベートとトートの美しいデュエットソングとして生まれ変わる。初めて出逢った二人の心情を瑞々しく描く歌詞にも注目したい。また、本編のみならず、リニューアルされたカーテンコールも見所が。各キャラクターの音楽に合わせて登場するキャスト達には前回以上に大盛り上がりすること間違いなし!

初日は、特別カーテンコールとして、キャスト全員・生オーケストラで「闇が広がる」を披露。ルカスが日本語で、「『闇が広がる』をみんなで歌いましょう!」と呼びかけると、マテ・ルカスの日本語まじりの「闇が広がる」に、総立ちとなった観客席からも拍手、歓声、歌声が飛び交い、熱狂の大阪公演幕開けとなった。 また、この公演のためにヨーロッパから駆けつけた、脚本・歌詞のミヒャエル・クンツェ氏、音楽のシルヴェスター・リーヴァイ氏も登壇。クンツェ氏は、「今夜は私たちにとって特別な夜です。20年前こうして日本で、しかもドイツ語でこの作品が上演されるとは夢にも思いませんでした。言語・文化・伝統も違う国で成功をおさめることができ、大変幸せに思います。」リーヴァイ氏は、日本語交じりに「お客様・キャスト・オーケストラの皆さん、心からありがとうございました。」とご挨拶。

マヤは、「再び日本で公演できて大変幸せです。今日は私の1027回目のエリザベートです。この記念すべき公演を、そして、20周年をここでみなさんと一緒に迎えられて大変光栄に、そして、幸せに思います。」そして、マテは「オーストリアのミュージカル『エリザベート』が2007年に日本に恋をして、再び帰ってきました。キャストもみんな大阪に来ることができて、大変感謝しています。」と、日本語でスピーチし、観客から大きな拍手が送られた。


大阪にて最高の幕開けを果たしたウィーン版『エリザベート20周年記念コンサート』。今年の東宝版を観て『エリザベート』にハマってしまった!という方や、長年の『エリザベート』ファンにもおススメ。『エリザベート』の世界観、音楽性を最大限に感じられるこの機会をお見逃しなく!

(撮影/岸隆子)

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