日生劇場2018年1月9日(火)~1月28日(日) 梅田芸術劇場メインホール2018年2月1日(木)~2月5日(月)

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新着情報

世界的な英国演出家 デヴィッド・ルヴォーが憧れ続けた『黒蜥蜴』をついに演出!

江戸川乱歩の長編探偵小説で、1961年に三島由紀夫が戯曲化した『黒蜥蜴』。
日本に魅了され続けてきた世界的な英国演出家 デヴィッド・ルヴォーが、敬愛してやまない三島由紀夫が残した最高傑作戯曲の一つを、長年夢に描いてきた演出プランで実現します。新たに生み出される『黒蜥蜴』の耽美な世界にどうぞご期待下さい!!

ストーリー

一代で財を築いた宝石商・岩瀬庄兵衛は、娘の早苗を誘拐するという脅迫状に脅え、私立探偵の明智小五郎を雇う。大阪のホテルに身を潜める父娘の隣室には、岩瀬の店の上客である緑川夫人が宿泊していたが、実は彼女こそ、誘拐予告をした張本人の女賊・黒蜥蜴。

黒蜥蜴は、部下の美しい青年・雨宮を早苗に紹介すると見せかけ彼女を奪い去ると、そうとは知らずに犯人を警戒し続ける明智の前に、何食わぬ顔で現れる。クールでいながら、「犯罪」へのロマンティックな憧れを隠さない明智に魅入られた緑川=黒蜥蜴は言う。
「要するにあなたは報いられない戀(こい)をしてらっしゃる。犯罪に對(たい)する戀(こい)を」。

明智はすかさず切り返す。
「でも己惚れかもしれないが、僕はかう思うこともありますよ。僕は犯罪から戀(こい)されてゐるんだと」

自信に満ちたその態度を裏打ちするかのように、明智は見事に早苗を奪還してみせる。が、黒蜥蜴は怯まない。美の狩人・黒蜥蜴VS.名探偵・明智小五郎の勝負は、報われない結末に向かってさらにヒートアップしてゆく……。

キャスト

  • 中谷美紀

    中谷美紀

    <緑川夫人(黒蜥蜴)役>

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  • 井上芳雄

    井上芳雄

    <明智小五郎役>

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  • 相楽 樹

    相楽 樹

    <岩瀬早苗役>

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  • 朝海ひかる

    朝海ひかる

    <家政婦ひな役>

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  • たかお鷹

    たかお鷹

    <岩瀬庄兵衛役>

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  • 成河

    成河

    <雨宮潤一役>

    プロフィール

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一倉千夏  内堀律子  岡本温子  加藤貴彦  ケイン鈴木  鈴木陽丈  滝沢花野  長尾哲平  萩原 悠
松澤 匠  真瀬はるか  三永武明  宮 菜穂子  村井成仁  安福 毅  山田由梨  吉田悟郎


ダンサー:小松詩乃 松尾 望 (50音順)

出演を予定しておりました藤田 玲が事情により降板し、村井成仁の出演が決定致しました。
※なお、この変更に伴う払い戻しの対応は致しません。

中谷美紀 コメント

◆出演にあたって
今回、江戸川乱歩が創作し、三島由紀夫が書かれた物語をデヴィッド・ルヴォーさんが演出されるということで、三島さんが巧みに描かれた文章を表現することは容易なことではないですし、とても大きな劇場で演じるということに恐れを抱き、逡巡もしたのですが、やはり心が動いてしまい、出演させていただくことを決めました。
ルヴォーさんとスタッフの方々が温かく支えてくださるということと、また、井上芳雄さんという素晴らしい明智小五郎さんにもめぐり会えるようですので、自らの身を委ねてみたいと思います。

◆「黒蜥蜴」という作品の魅力
耽美的でありながら、毒も含んでいて、きちんとエンターテイメントになっている、とても分かりやすい物語であるということが、この作品の魅力なのではないでしょうか。

◆演出デヴィッド・ルヴォー氏について
「言葉の魔術師」という感じで、人を抵抗なく説得する天才なのではないかと思っています。人の不安材料を取り除いたり、ご自分の世界に引き込む力がある方だと思うので、ぜひ私も魔法にかけて頂きたいと思っています。

◆井上芳雄さんの印象
私自身は本作が舞台4作目と経験がありませんが、井上さんはミュージカルスターであることはもちろん、ストレートプレイでも実のあるお芝居をなさる方ですので、いろいろ教えて頂き、助けて頂けることを期待しています。

井上芳雄 コメント

◆出演にあたって
この作品をやりたいと感じた一番の理由はルヴォーさんの演出だということです。過去に『ルドルフ〜ザ・ラスト・キス〜(2012年帝国劇場)』での経験が素晴らしかったので、いつかまたご一緒したいという気持ちがあり、ルヴォーさんが来日するたびに顔を見せに行き、「いつかまた一緒にやりたい」と言い続けてきました。今回のタイミングでお話を頂き、是が非でもやりたいとお返事しました。

◆「黒蜥蜴」という作品の魅力
お恥ずかしながら三島さんの作品はそこまで多く読んだことは無いのですが、もともと「黒蜥蜴」はすごく好きで、話自体に興味がありました。「黒蜥蜴」というキャラクターに魅力がありますし、作品で描かれている時代の日本は今の日本に無いものが沢山あるので、不思議な話ではありますが、ずっとすごく好きな作品でしたね。ルヴォーさんとやりたいというのは第一ではありましたが、題材が「黒蜥蜴」だったということも二重のラッキーでした。

◆演出デヴィッド・ルヴォー氏について
今までいろんな演出家の方とご一緒させて頂いていますが、ルヴォーさんの演出は魔法にかけられているような、演出を受けて本番中も知らないうちに彼の意図する作品の世界に連れていかれているという経験だったので、「もう一度あの中に行きたい」と思っていました。数年が経ち、お互いに日々少しずつ変化していると思うので、今の彼が何を考えて、何を表現しようとするのかを知りたいですし、一緒に良い作品を作れたらこんな幸せなことはないと思います。

◆中谷美紀さんの印象
以前、ドラマで一度ワンシーンだけご一緒して、その時は一瞬お会いしただけだったのですが、その一瞬だけでも「ご一緒できて良かった」と思える方でした。女優さんとして素晴らしいのはもちろんなのですが、その現場で中谷さんは主演だったのにもかかわらず、現場の誰よりも気を遣っていて、「こんなことってあるのかな」と信じられない程、素敵な印象しかありません。今回、舞台で「黒蜥蜴」と「明智」としてご一緒できることを本当に光栄に思います。

相楽 樹 コメント

◆出演にあたって
今回、ルヴォーさんが演出する作品に出演が決まってから、知り合いの役者の先輩方から「羨ましい」と言っていただける機会が増えました。お稽古ではいったいどんな時間が繰り広げられていくのか、共演する先輩方のお芝居を間近で見られることも楽しみです。
「黒蜥蜴」ならではの古典的なセリフのやりとりや、妖艶な世界観も、なかなか通常の発想では考えつかないものだと思うので、魅力を感じました。

◆演出デヴィッド・ルヴォー氏について
まだ一度しかお会いしていないのですが、ルヴォーさんの「黒蜥蜴」という作品に対する想いや、三島由紀夫作品に対する愛を直接語っていただいて、熱意がすごく伝わってきました。そんなルヴォーさんの創り出す「黒蜥蜴」はどんな舞台になるのか、すごく楽しみに感じています。合間には共通の話題としてビートルズの話をしてくださったり、とても優しい方でした。

朝海ひかる コメント

◆出演にあたって
「黒蜥蜴」の魅力とは、冒険活劇の要素もありつつ耽美でグロテスクな世界が三島由紀夫さんの流れるような日本語でつづられていることだと思います。奥の深い世界だと感じています。
中谷美紀さんと共演するのは初めてです。あの絶世の美女を目の前にしたら、私はとても臆病なのでドキドキして何もできなくなってしまうのではないか…と思っています。初対面の方とのお芝居がどのように構築されていくのか、どのようなセッションができるのか、とても楽しみです。

◆演出デヴィッド・ルヴォー氏について
今回の「黒蜥蜴」の演出について、ルヴォーさんの頭の中で思い描いているものをお聞きしたり、お互いの経歴や演劇に対する想いなどをお話ししたのですが、目の奥がとても深く、私が言った言葉をすべて受け入れてくれるような、懐の深い方だと感じました。 ルヴォーさんの演出は初めてです。未知の領域ではありますが、不安よりワクワクする気持ちが大きいです。ルヴォーさんのもと、キャスト全員がひとつになり江戸川乱歩と三島由紀夫の世界をどのように彩るか、また新たに創ることができるか、今からとても楽しみです。

たかお鷹 コメント

◆出演にあたって
私が劇団に入った時にはもうお辞めになっていましたが、三島由紀夫さんは文学座の大先輩でもあります。とにかく文章が綺麗なのでハッキリと伝えたいと思っています。「黒蜥蜴」という作品自体は何度も上演されていますが、三島文学の特徴でもあるようにとても艶っぽい作品で、やりがいのあるものだと思うので、今からワクワクしています。

◆演出デヴィッド・ルヴォー氏について
実はルヴォーさんとご一緒するのは1995年『チェンジリング』以来、23年ぶりになります。「黒蜥蜴」という作品で今回またお会いできるのが楽しみです。

成河 コメント

◆出演にあたって
本作は言葉では言い表せないような、美学と美学の対決という印象です。三島由紀夫さんの文体が耽美的かつ官能的な世界観を表しているので、そこに魅力に感じます。
雨宮役については、おそらく年齢的にも、もう少しフレッシュな俳優さんが演じるイメージの役だったので、戸惑いも少しあったのですが、ルヴォーさんにお会いして、演出プランを聞いたり、意見を交わしていくなかで「この人と(演劇を)創りたい」という気持ちが生まれました。物語の伝え方として、身体を使った表現や、演劇的な工夫を企んでいらっしゃるようなので、すごく楽しみにしています。

◆演出デヴィッド・ルヴォー氏について
ルヴォーさんの作品はもともと好きで、今までも作品を観てきました。イギリス出身の方では最も長く、日本での演劇を創って来られた方だと思っています。TPTで活躍された後も、活動のスタイルを変えながら、日本で演劇を創っている姿を見て、『日本の演劇をよく知り尽くしたうえで、「演劇」というものの概念を広げてくれる方』だという印象をもっています。

スタッフ

David Leveaux (デヴィッド・ルヴォー)

演出 David Leveaux (デヴィッド・ルヴォー)

1957年イギリス生まれ。 82年『日陰者に照る月』でウエストエンド演劇賞を受賞。同作品をブロードウエイでも演出し、トニー賞最優秀演出賞を含む4部門にノミネートされる。 88年松竹『危険な関係』で初来日。その後、東京で注目を浴びる一方、ロンドンでロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのアソシエイト・ディレクターとして『あわれ彼女は娼婦』『ロミオとジュリエット』を連続上演。ロイヤルナショナルシアターでは『父』『ジャンパーズ』を。93年ブロードウエイ 『アンナ・クリスティ』でトニー賞5部門にノミネートされ、リバイバル作品賞を受賞。98年に演出した『テレーズ・ラカン』は、第1回読売演劇大賞と演劇作品賞、紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。また、03年のブロードウェイ作品『ナイン』は、トニー賞最優秀ミュージカル演出賞など6部門にノミネート、ベスト・リバイバル・ミュージカル賞など2部門で受賞。 近年の主な演出作品として、2014年6月日生劇場にてハロルド・ピンター作『昔の日々』(出演:若村麻由美、麻実れい他)、2016年3月Bunkamura シアターコクーンにて谷 賢一作「ETERNAL CHIKAMATSU ―近松門左衛門『心中天網島』より―」(出演:深津絵里、中村七之助他)、2016年10月にニューヨークのパブリックシアターにてレイチェル・ワイズ主演『プレンティ』。

演出家 コメント

『黒蜥蜴』は、自分とはまったく相反する何ものかに対する愛と、その愛の残虐さについて描いた、驚くべきラブストーリーです。非常に入り組んだ作品で、『近代能楽集』や『サド侯爵夫人』と同様の要素が垣間見えるかと思えば、三島好みの等身大以上の派手な世界が広がり、アクションもあって、ドラマの展開が実に大胆です。私は『ETERNAL CHIKAMATSU』の際に、近代リアリズムとはまったく異なる方法を使う歌舞伎の演技術に魅了されましたが、三島も、歌舞伎の影響を強く受けているんですね。この作品にも、まるで歌舞伎かオペラのアリアのようなモノローグなど、リアリズム演劇からすると奇妙と言うしかない表現が出てくるので、私たちも、ふだんの演技術とは異なる何らかの言語=スタイルを見つけ出さなければなりません。現在クリエイティブ・スタッフとは「グロテスクな美」の具現化について話し合っていて、寺山修司やフェリーニの世界が、イメージの手がかりになっています。

黒蜥蜴は完璧な美を求めますが、真の美とは、居心地の悪いもの。第三幕の恐怖美術館がまさにそれで、死そのものがエロティックであるという思考に、黒蜥蜴が取り憑かれていることがわかります。晩年の作品となるこの戯曲で、三島は死のエロティシズムを横溢させているのです。全体に強烈、かつさまざまなフォルムのエロティシズムを漂わせることを、目指したいと考えています。

黒蜥蜴役は、まず目を見張るような絶世の美女でなければなりません。同時にある種の緊張感を持ち、何かに駆り立てられている女性で、謎めいており、この人のことを知りたいと、周囲に思わせる磁力の持ち主。中谷美紀さんは、そのすべての要素にかなうだけでなく、繊細な部分も併せ持っていて、申し分ありません。明智は、完全にアウトサイダーであり、ハンフリー・ボガードのようなハードボイルドですが、まっとうなモラルも併せ持っています。『ルドルフ・ザ・ラストキス』でご一緒した井上芳雄さんは、他者からの共感を呼ぶことができる才能に恵まれた俳優で、クールで知性的な点でも、明智にふさわしいでしょう。もう王子様役は十分でしょうから(笑)、新たなハードボイルド役に期待しています。

ホテルの部屋や、明智の探偵事務所、東京タワーなど、場面はさまざまありますが、今回の舞台は、古きよき時代のハリウッドの撮影スタジオのような場所で、展開させようと考えています。具体的な構造物をなるべく排除し、重要な部分だけを見せながら、『黒蜥蜴』の世界と同時代のハリウッドの、不思議なあでやかさを再現したいと思っています。三島が好むゾッとするようなグロテスクな美しさで、どのようにラブストーリーを紡ぎ出すか。私にとっても、大きなチャレンジです。

原作
江戸川乱歩
脚本
三島由紀夫
美術
伊藤雅子
照明
西川園代
衣裳
前田文子
ヘアメイク
UDA
音楽
江草啓太
音響
長野朋美
映像
栗山聡之
振付
柳本雅寛
演出助手
加藤由紀子
舞台監督
小川 亘

スペシャル

  • 舞台写真
  • 中谷美紀が語るワークショップ
  • 製作会見

舞台写真

撮影:taro

小説幻冬

9月末に実施された黒蜥蜴ワークショップの模様を小説幻冬「文はやりたし」(文:中谷美紀)にて掲載中。
演出家と俳優が作品を創り上げていく過程を、中谷さんご本人が大変興味深い切り口で、その様子を語っておられます
以下はその原稿です。

 江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲化した『黒蜥蜴』にて再び舞台に立つこととなった。

 演出は、25年にわたり日本でも数々の作品を演出していらしたデヴィッド・ルヴォーさんで、あの名探偵明智小五郎を井上芳雄さんが、女賊黒蜥蜴を私が演じることになっている。

 先日3日間だけのワークショップが開催され、これまで名だたる俳優さんたちが、その指導を乞うたルヴォーさんの魔法のような演出の一端に触れることが叶った。

 集団生活をめっぽう苦手としており、数少ない演劇経験では、決して大きくはない劇場にて最小限の人数と行動を共にしてきたため、25人もの大所帯での作品作りはいかほどのものかと少々身構えていた。

 ミュージカル界のプリンスという称号を欲しいままにしつつ、ストレートプレイにも果敢に挑戦なさる井上芳雄さん、映像に加えて小劇場でも経験を積んでいらした相楽樹さん、かつて宝塚歌劇団にてトップとして君臨していらした上、男装を脱ぎ捨てた後は女優としても圧倒的な存在感を放つ朝海ひかるさん、演劇界にて半世紀以上もご活躍のたかお鷹さん、国内外を問わず優れた演出家たちに愛されていらした成河さんをはじめ、技も感性も磨かれた役者さんたちに、これから演劇の世界を担っていくであろう若手の役者さんや、コンテンポラリーダンサーの方々などが加わり、年齢も性別も背景も様々異なる人々がひとつの作品のために集められたのだ。

 ワークショップの一日目は、「三島は、この作品で匂い立つような死とエロティシズムを表現しているけれど、それは彼自身の死への憧憬と若さへの執着に重なるもがある。そしてこの作品を重厚な舞台美術で描くのではなく、今の時代に即した形で表現したいと思っている」とおっしゃるルヴォーさんの言葉に続いて本読みに時間を費やすこととなった。

 達者な役者さんたちの想像力により、三島由紀夫の美しい言葉が立体となって浮かび上がり、物語にスピードと奥行きが加えられ、詩的な言葉に隠された意味を心に問われているような感覚をおぼえた。

 ルヴォーさんの人心掌握術は、かねてより耳にしていたものの、二日目の始まりで、全員の緊張を瞬く間に取り除き、チームワークの形成をいとも簡単に成し遂げたことで、その評判に偽りのないことが明らかになった。

 両手を開いてぶつからない距離を取りつつ円陣を組むよう指示された私たちは、拍手のリレーをすることになる。「ほっ」「はっ」「あ゛っ」などと、声を出しながら隣人に向けてパンッと拍手を送り、隣人から受け取ったエネルギーとリズムをそのままに隣人にさらなる拍手と声を受け渡すということの連続は、稽古場に生まれたグルグルと巡るエネルギーに集中させることで、緊張から互いの顔色を恐る恐る窺っていた私たちの心の殻を破り、ひとつの目標に向かって皆で励むための呼吸を整えてくれた。

 二人ずつペアになって二人羽織で隣のペアと会話をするというエクササイズは、とてつもなく愉快で抱腹絶倒した。会話をしている役者さんたちの心情と、背後に隠れている役者さんによる手の動きが見事に連動していて、動きが先なのか、言葉が先なのか見分けがつかぬほどだった。小道具など何も与えられていないにもかかわらず、リモコンの操作をしているように見えたり、ペットボトルのお水を飲む様が見えたり、隣の人の耳に触れてみたり、互いをなじり合ったり、聴衆のひとりをやり玉にあげて笑いものにしたりと、リアルで、可笑しな対話が繰り広げられた。

 その傍らで「人生は、短い」と、日本語でつぶやくルヴォーさんにクスッと笑わされ、また、「それも人生」などと、諦めとも肯定とも、あるいは皮肉ともとれる言い方でつぶやく姿に、ずるいなぁと思いつつも、最後まで騙されてみようかと思えたのだった。

 明智小五郎と黒蜥蜴のごとく、演出家と役者の関係も騙し合いに等しい。騙したつもりが騙され、どちらかが、あるいは互いに騙された振りをしたりもする。運良く優れた演出家に出会ったら、四の五の言わずに素直に騙された者勝ちなのだ。

(文:中谷美紀)
小説幻冬「文はやりたし」より全文掲載

ご興味のある方はぜひ小説幻冬を!
10月27日より絶賛発売中。

  • ワークショップより

製作会見を実施しました!

撮影:舞山秀一

  • パフォーマンス映像
  • キャストコメント
  • 演出デヴィッド・ルヴォー コメント

スケジュール

公演日程

<東京公演> 日生劇場

2018年1月9日(火)~1月28日(日)

1/9(火) 1/10(水) 1/11(木) 1/12(金) 1/13(土) 1/14(日) 1/15(月) 1/16(火) 1/17(水) 1/18(木)
13:00 13:00 13:00 13:00 13:00 休演日 13:00 13:00 13:00
18:00 18:00
1/19(金) 1/20(土) 1/21(日) 1/22(月) 1/23(火) 1/24(水) 1/25(木) 1/26(金) 1/27(土) 1/28(日)
13:00 13:00 休演日 13:00 13:00 13:00 13:00 13:00 12:00
18:00 18:00 18:00 18:00

※開演時間を過ぎますと、約20分間お席にご案内出来ない時間帯がございますのでご注意ください。

=貸切公演
=演出家デヴィッド・ルヴォー マスタークラス

世界的に活躍する演出家デヴィッド・ルヴォーの演出技法などが聞ける特別な時間です。当日、ロビーに質問BOXを設置し、お客様から質問を募集いたします。頂いた質問の中からイベント時に演出家がお答えいたします。
司会:森本さやか(フジテレビアナウンサー)

=井上芳雄×成河 アフタートークショー

司会:中井美穂

<大阪公演> 梅田芸術劇場メインホール

2018年2月1日(木)~2月5日(月)

2/1(木) 2/2(金) 2/3(土) 2/4(日) 2/5(月)
  13:00 12:00 13:00 12:00
18:00 17:00

※開演時間を過ぎますと、約20分間お席にご案内出来ない時間帯がございますのでご注意ください。

=井上芳雄×成河 アフタートークショー

司会:加美幸伸

チケット

<東京公演> 日生劇場

一般発売日
2017/9/30(土)
料金
S席 12,500円 A席 9,000円(全席指定・税込)
お問い合わせ
梅田芸術劇場  0570-077-039(10:00~18:00)


※未就学児童のご入場はご遠慮ください。
※車椅子でご来場予定のお客様は、当日のスムーズなご案内のため、公演前日までに梅田芸術劇場までご連絡ください。

<大阪公演> 梅田芸術劇場メインホール

一般発売日
2017/9/30(土)
料金
S席 12,500円 A席 9,000円 B席 5,000円(全席指定・税込)
お問い合わせ
梅田芸術劇場メインホール 06-6377-3800(10:00~18:00)


※未就学児童のご入場はご遠慮ください。
※車椅子でご来場予定のお客様は、当日のスムーズなご案内のため、公演前日までに梅田芸術劇場までご連絡ください。

アクセス

<日生劇場>

〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-1-1

JR線
山手線 京浜東北線「有楽町駅」
日比谷口より徒歩10分

地下鉄
千代田線 日比谷線 都営三田線「日比谷駅」
A13出口より徒歩1分
有楽町線「有楽町駅」より徒歩10分
丸ノ内線「銀座駅」より徒歩10分

<梅田芸術劇場>

〒530-0013 大阪市北区茶屋町19-1

阪急電車
「梅田駅」茶屋町口より徒歩3分

JR線
「大阪駅」御堂筋北口より徒歩8分

地下鉄
御堂筋線「梅田駅」1号出口より徒歩5分
御堂筋線「中津駅」3号出口より徒歩5分
谷町線「東梅田駅」1号出口より徒歩7分
四ツ橋線「西梅田駅」3号出口より徒歩11分

阪神電車
「梅田駅」東出口より徒歩10分