祖父、父、自身の三世代を本人含む他者が入れ替わりながら演じ、リアリティとフィクションを両立させる世界。(22年度城崎のアーティスト・イン・レジデンス・プログラム作品)
自由美術の先駆けと言われた20世紀の抽象画家、池田一末。自らの美意識を探求し続けた彼の絵は殆ど売れなかった。遺族からの価値も不透明で「肉親だから」という理由のみで保管されている数百点の作品群は、親族の死や老朽化が進む彼のアトリエの解体と共に処分される未来も視える。いずれに他者にとって不要となる。彼の遺品を整理する中、絵画が一度だけイスラエルの地で売れた記録があった。絵画の行方とその意味を探り、実の遺族である子(芸名:五島ケンノ介 本名:池田 靖)と孫(池田 亮)とが出演する。死から生へ、三世代のドキュメンタリーから他者へと紡がれる舞台作品。本年度の城崎アーティスト・イン・レジデンス・プログラムでの滞在制作期間を経て、「ゆうめい」初のツアー公演となります。
池田 亮プロフィール
脚本家・演出家。1992年埼玉県出身。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻卒業。舞台・美術・映像を作る団体「ゆうめい」代表。舞台作品『姿』(19年・21年)がTV Bros.ステージ・オブ・ザ・イヤー2019、テアトロ2019年舞台ベストワンに選出し2021年芸劇eyes・東京芸術劇場にて再演。近年ではNHK Eテレ『天才てれびくん』ドラマパート脚本、TVアニメ『ウマ娘』一期・二期脚本、バンド「ズーカラデル」『ノエル』Music Video脚本、QJWebやpaperCでのコラムも手掛け、ノンジャンルでの創作の多面性を解析しながら活動している。