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囲み取材レポート

『スカーレット・ピンパーネル』開幕直前囲み取材!
石丸幹二「1年を経て熟した」と手応え

 昨年2016年に好評を博した主演石丸幹二、ヒロイン安蘭けいのミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が早くも再演される。初日となる11月13日(月)前日に、大阪・梅田芸術劇場メインホールで、報道陣に向けてプレスコールと囲み取材が行われた。昨年の舞台より続投の石丸幹二、安蘭けい、石井一孝の他、再演で新たに加わった上原理生、泉見洋平、松下洸平が囲み取材に登壇、華やかな衣装に身を包み意気込みを語った。

 本作は1997年にフランク・ワイルドホーン作曲にてブロードウェイで初演、日本でも宝塚歌劇団による上演など再演を重ねる人気作。フランス革命後の恐怖政治が進むなか、イギリス貴族のパーシー・ブレイク二ー(石丸)が、知恵と勇気で無実の人々を救う痛快な冒険活劇だ。昨年、ガブリエル・バリー潤色・演出にて、新曲も加わった“世界初の新バージョン”を上演。再演では気鋭の石丸さち子が演出に加わり、より進化した舞台で魅せる。

 プレスコールでは3シーンを披露。元恋人のマルグリット(安蘭)に熱い想いをぶつけるフランス政府全権大使・ショーヴラン(石井)のナンバー「あの日のきみはどこへ?」、パーシーの仲間・ピンパーネル団によるナンバー「炎のなかへ」、マルグリットの「悲惨な世界のためにリプライズ」、パーシーがマルグリットの愛の深さに気づく「あなたはそこに」などが歌い継がれた。

 囲み取材で石丸は、「1年置くことで、こんなに熟するのだなと実感しています」と話し、キャストが一新されたピンパーネル団との芝居でも、「演者が変わることでセリフの魂の宿り方が大きく違ってきます。新たな球をどうキャッチするか、楽しみながら演じることができています」と再演の手応えを感じている様子。

 宝塚歌劇星組公演では主役のパーシーを演じ、本作ではヒロインに挑戦している安蘭も「ショーヴランとの関係をもっと深く考えようと思いながら、稽古をしてきました。その結果、三角関係が鮮やかに出ていれば」と、芝居の面での変化をまず語った。ショーヴランを演じる石井は、「このように全身真っ黒の装いになるとすごくやる気も出て、マルグリットはもはや僕の手に抱かれるのではないか、という思いでいます!」と熱く語る。その隣で安蘭は「ムリムリ」と笑い、場を和ませてチームワークの良さもにじませる。

 ロベスピエールとプリンス・オブ・ウェールズの二役を演じる上原は、「ワイルドホーンさんの作品には初めて出演しますが、名曲ばかりで(舞台裏でも)ずっといい曲が流れているから幸せで心が潤います。(昨年加わった)新曲を一回一回大事に歌いたいです」と話す。ピンパーネル団のデュハーストを演じる泉見も、「ロマンティックな曲や勇ましい曲、妖しい曲などタイプが違うのに、言葉が直球で届く」と話し、アルマンを演じる松下も「この作品の曲は誰の耳にもスッと入り込み、何度も何度も聴きたくなります」と楽曲を絶賛する。

 フランク・ワイルドホーン氏の『ジキル&ハイド』などにも出演してきた石丸は、「歌えば歌うほど次のハードルが見つかり、そのハードルをどう越えていこうかと楽しくなり、どんどん挑戦してしまいます」と氏の楽曲の魅力を語る。安蘭も「一曲ずつシングルカットして発売してほしいぐらいすべていい曲!メロディに沿って歌えば自然と感情も流れてきます」と話す。石井も「『スカーレット・ピンパーネル』の音楽はシーンに即した全く違うベクトルの曲が実にきれいに並んでいて、奇跡だと思いますね!」と力強く語った。

 美しく壮大な難曲を歌いこなせるメンバーが揃い、芝居の面でも深まった新たな『スカーレット・ピンパーネル』。本作は大阪公演後、東京でも上演される。石丸パーシーを筆頭に一致団結した熱い舞台が期待できそうだ。

文/小野寺亜紀
撮影:岸隆子(Studio Elenish)

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