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『The Wonder Three』トークショーレポート(10月20日13:00公演後)

『DREAM, A DREAM』がファンの皆さまへお届けする夢の宝箱、アフタートークショー。10月23日(水)の公演終了後は、「『The Wonder Three』トークショー」が開催されました。登壇いただいたのは、『The Wonder Three』で主演を努めた77期同期生の安蘭けいさん、朝海ひかるさん、成瀬こうきさん、司会は竹下典子さんです。さて、どんなお宝話が飛び出したのでしょうか。

「舞台後の2人に合わせてメイクもほんの少し濃くしてきました」という成瀬さんはこの日のトークゲストとして登場。トークショーでは、毎回、出演者のみなさんがカラフルなオリジナルTシャツを着て登壇しますが、成瀬さんは水色のTシャツをコートの下にあらかじめ着て会場入りしてくださったとのこと。いきなりマル秘情報いただきました!
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竹下 「99年に宝塚バウホール公演として上演された『The Wonder Three』は皆さん(同期生3人)と雪組の娘役さん6人、計9人のリサイタル形式のショーでした。14年前の公演ですが、憶えてらっしゃいますか」

朝海 「はい、今朝3人で「すごい昔だよね」とメールをしあいました。あの時はちょうど私とおっちょん(成瀬さん)が雪組に組替えをして、おっちょんが先に入っていたのだけど」

成瀬 「そうだっけ?(笑)」

安蘭 「そう、若干おっちょんが先。それで3人になって、『ノバ・ボサ・ノバ』をやって、その後に『The Wonder Three』だよね」

竹下 「(公演では)それぞれジャンルの違う歌を歌われたのですよね」

安蘭 「私がシャンソンで、コムがブラジル……?」

朝海 「えっ、国の名前?ラテンね(笑)」

安蘭 「(爆笑しながら)そう、そう、ラテン。そしておっちょんがジャズね」

朝海 「3人で歌う場面もあったのですが、一人一人に割り当てられたコーナーが結構大変で、皆、悩みを抱えながら(笑)」

成瀬 「泣きましたよね。あ、言っちゃった(笑)」

安蘭 「あまりにも大変で、自分の出来なさ加減を悩んで、でも2人もそれぞれ抱えているから頼れないし、そうしたらなんだかとても悲しくなって、稽古が終わった後に窓の方へ行って泣いていた気がする」

朝海 「稽古場の電気が落ちて真っ暗な中で、3人で肩寄せ合って泣いたよね。何がそんなに悲しかったんでしょうね」

成瀬 「追い込まれていたんだよね、あの頃はね、忙しくて」

安蘭 「ただただ出来ないって泣いてたのよ」

竹下 「男役がきちんと出来るまでに10年かかると言いますよね。あの時は研究科9年でしたね」

安蘭 「えっ、もうそんなに経っていたのですか?」

成瀬 「出来なくてすみませんでした……」

安蘭 「9でしたっけ?8じゃなかった?あ、それでも1年しか違わないか……(笑)そうか、9であれか」

と、自分たちに突っ込みを入れる3人に、客席は爆笑。

安蘭 「実は私たちの中であまりにも大変な作品だったので、『The Wonder Three』の記憶を抹消しようと(笑)、いただいたビデオは封を開けず一度も見ていません」

朝海 「おっちょん見た?」

成瀬 「(爆笑しながら)見てない。ショーの中でドラムを演奏するって言われて、3人で「すごいね」って興奮しながら稽古場に行ったら、一人1個ずつ小さい太鼓があって、アレ?なんてこともあったよね(笑)」

安蘭 「でも今考えたらドラムなんて出来るわけないよね(笑)」

「こんな小さな太鼓だったよね」「それすら出来なかったよね」と笑いあう3人につられ、て客席も笑いが止まりません。話すほどに当時の稽古場の様子を鮮明に思い出したようで……。

朝海 「(練習していて)バチが飛んだりしたよね」

安蘭 「(興奮気味に)思い出してきた!!」

成瀬 「汗もかいてきたけど大丈夫?(笑)」

朝海 「あの頃は何が転んでもおかしい年齢だったので、バチが飛んだだけで舞台稽古を一旦中止するくらい笑ってしまって。そんなことを思い出しました」

竹下 「青春のいい思い出ですよね」

安蘭 「そうなんです、だからようやく封を開けてみようかなって気になったのですけど」

成瀬 「じゃあ、3人で観ようか!」

朝海 「イヤーン!!」

竹下 「同じ時期に音楽学校に入られて、それぞれの第一印象というのはどうでしたか」

朝海 「とうこ(安蘭さん)とおっちょんは、成績優秀で委員をやっていて、入ってすぐに同期40人をまとめなくてはいけない4人のうちの2人でした。2人がすごく頑張っているのを一般人の私は(笑)すごいなぁと見てました」

安蘭 「大変だったね、おっちょん」

成瀬 「そうだね」

安蘭 「誰も言うこと聞かないしねぇ。(慌てて)ウソ、嘘、うそです(笑)」

成瀬 「とうこは入ってきた時に(上級生に)知り合いが多かったのか、(感激して)泣いていて、けれど颯爽と講堂に入ってきたので、なんて素敵な人が来たんだと思いました。コムちゃんは入ってからバレエがすごくて足が(手を顔の横に上げながら)こんなところで止まっている感じで、すごいカモシカさんがいると思ったのを憶えています。メガネかけていたよね」

朝海 「メガネかけてました(笑)」

安蘭 「私がおっちょんを初めて見たときは、「来た~っ!!」って」

成瀬 「なにが!!」

安蘭 「とても宝塚らしい、長身で綺麗で、こういう人が宝塚のスターになるんだなぁと思って見てた」(隣でウンウンとうなづく朝海さん)

成瀬 「ホント~?すごーい、初めて聞いた。ありがとう(笑)」

安蘭 「コムちゃんは、ふつうに、あの……」

朝海 「(おどけた雰囲気で)田舎から来ました」

安蘭 「私が言うのもなんですが、「田舎から来ました」という感じで(笑)、「宝塚のことはよくわからないですが、すごく踊ります!!」みたいな」

朝海 「寮の説明会の時に、一般の方は入れませんって言われちゃった。合格者ですって言ったら、家族の方も入れませんって、いや、本人です!って、2回断られちゃったの」

竹下 「その頃は、オーラを消していたのですね」

朝海 「いや、受験の時って皆、紺のスカートに白いブラウスでおそろいのような服を着ていたんです。私、そういうことを知らなくて、その頃流行っていたDCブランドの服を着て行って。そうしたら周りの方たちとあまりにも雰囲気が違っていて、ダメですって言われちゃって」

安蘭 「ちゃんと人の話聞いて、紺のスカートはいてこなくちゃダメでしょ」

朝海 「誰も教えてくれなかったんだよね(笑)」

朝海さんの入学前のびっくりマル秘エピソードも飛び出して、ファンの皆さんのボルテージもあがってきました。

竹下 「ところで安蘭さんは、今公演にドリームゲストで参加されていますが、出演されてみていかがですか」

安蘭 「初めは上級生の方々はじめ、タカラジェンヌのパワーと劇場の広さに圧倒されて、自分がとても小さいというか、委縮しているような気がしたのですが、それは束の間で(笑)今はとても楽しく参加させていただいてます」

竹下 「成瀬さんは客席で観覧なさったのですよね」

成瀬 「はい、日曜日に拝見させていただいて、もう、すごく良かった。号泣!! やはり自分がファン時代に観ていた舞台や、憧れていたスターさんが歌われて、(入団後に)自分が歌っていた曲もたくさんあって、走馬灯のように「私が宝塚にいたんだなぁ」と改めて思い出しながら感動して観ていました。コムちゃん(のダンス)もすごいから……」

朝海 「ありがとうございます。公演はこの後、まだまだ続きます。大阪でもお待ちしています」

雪組同期3名による、青春時代を振り返りながらの『The Wonder Three』トークショー。この日は2名の方に安蘭さん、朝海さん、成瀬さん3人のサイン色紙が当たる抽選会が行われ、当選者には、舞台上で直接色紙が手渡されるというスペシャル企画もありました。そして、宝塚を応援しつづけるファンの皆さんの熱いまなざしと大きな拍手を受けつつ夢のトークショーは終了となりました。

アフタートークショーは、大阪公演でも引き続き魅力的なラインナップで開催されます。息の合った皆さんの、ここでしか聞けないとっておきのトークを、宝塚歌劇100周年前夜祭『DREAM, A DREAM』とともに楽しまれてはいかがでしょうか。

(文・栗原晶子)

『スパルタカス』トークショーレポート(10月20日13:00公演後)

東急シアターオーブに、熱い拍手と手拍子を響かせている『DREAM, A DREAM』。大好評のアフタートークショーも第5弾となりました。10月20日(日)の公演終了後は、元花組スターによる『スパルタカス』トークショーが開催されました。登壇いただいたのは、安寿ミラさん、姿月あさとさん、朝海ひかるさん、司会を未沙のえるさんにご担当いただきました。今回のレポートは登壇いただいた皆さんのお人柄が伺える自己紹介部分からスタート。
 

安寿 「よりによって話し下手が3人揃いました。一生懸命お話しますのでどうぞついてきてください」

姿月 「本日はご観劇ありがとうございます。よろしくお願いします」写真

朝海 「一生懸命おしゃべりしたいと思います。皆さま最後までごゆっくりお過ごしください」

先ほどまでのステージとは別人のように、とても恥ずかしそうな自己紹介に客席はさっそく笑いと拍手に包まれました。今回のトークショーには92年の花組公演、安寿ミラさんのトップお披露目公演『スパルタカス』の出演者が集いました。

未沙 「『スパルタカス』は『白扇花集』という日本物と二本立てで、私もこの時組長として初めての公演でした。初日の挨拶で「皆さま本日は『白扇花集』と『スパルタカシュー』……」と言ってしまいまして(笑)」

安寿 「花組はなかなか日本物の機会がなくて、初日は白塗りで納涼大会みたいなメイクでしたね(笑)その後、化粧変えして『スパルタカス』だったのですが、スパルタカスというのは筋骨隆々の奴隷の役なのに、痩せている私が演じていたもので、台詞に“痩せこけた”というのがちゃんと入っていたのを憶えています」

次はずんこ(姿月さん)よ!と急かされてマイクを持ちなおす姿月さん。

姿月 「この時、私は研4でした。総タイツみたいなものを着て、戦士の役でした。『白扇花集』では日本物なのに、なぜか花組らしく途中でバレエの場面があって、白塗りの上からベージュで塗って、なんで日本物なのにバレエやっているのだろうって(笑)」

朝海 「私は最下級生でこのヤンさん(安寿さん)お披露目公演から花組配属になりました。憧れの花組に入ることが出来たので本当に嬉しくて、毎日素敵な上級生の方々を見てウキウキしながらお稽古していました」

安寿 「新人公演は何をやったの?」

朝海 「新人公演は売られる奴隷をやりました(笑)」

安寿 「荷車に乗ってね……」

姿月 「あぁ、憶えてます!」

朝海 「ずんこさんが橘沙恵さんがやられたバロマーの役を演じられて」

姿月 「悪い役ね」

朝海 「そうです、そのバロマーが棒で私たちを叩きながら追いやるんですけれど、その棒はくねっと柔らかいんですけど……」

姿月 「お麩みたいなね」

朝海 「でもそれをずんこさん、すごい勢いでバシッと叩いてすごく痛くて(笑)」

姿月 「痛くないよ~(笑)」

朝海 「そんな思い出があります。日本物の方では私もプロローグのあとすぐにバレエに出させていただいたので、紫のチュチュを着て踊りました」

安寿 「マヤさん(未沙さん)は『スパルタカス』では何の役でした?」

未沙 「私は奴隷を買う偉い人(役名ではアルビニス)。花組出身者は、その後いろいろな組でトップになりましたよね。ずんこは宙組の初代トップスターに!」

姿月 「研7の時に月組から組替えになりました。(なってみてどうだった?の問いに)そんなねぇ、自分が宝塚に入団させていただいた時には新しい組が出来るなんて思ってもみなかったので。だって花組にいた時の私を見て、みなさん私がトップになるなんて思ってませんでしたでしょ?」

安寿 「いつかはどこかでなると思ってたよ」

安寿さんの答えに、「絶対思ってないですよー」と叫ぶ姿月さん。このリラックスしたトークショーのテンションに客席からは、笑いが途切れることがありません。

未沙 「たしかにずんこって舞台ではバシッとしているのに、普段はふにゃーっとしているから、そのギャップがいいよね」

朝海 「『白扇花集』の時に♪桃の花咲く~って歌ってらっしゃるのを見て、下級生ながら「あぁ、全然いつもと違うずんこさんだ」と思ったのを憶えています」

未沙 「コムちゃん(朝海さん)も雪組でトップになりましたよね」

姿月 「いつ花組から宙組に組み替えになったんだっけ?」

朝海 「研7の時ですね、私も」

姿月 「みんな研7で巣立っていくのかなぁ(笑)」

安寿 「私はずっと花組だったからわからないけど(笑)。でも花組って本当に皆、今も仲が良くて、花組会がよくあるんですけど、絶対来てくれるもんね」

未沙 「そういえば、今公演の『サテンドール』は大浦みずきさんと……」

安寿 「はい、デュエットさせていただいた曲です。あの…、もう一度一緒に踊りたいと思って、肩に赤い布をつけているのですけれど、なつめさん(大浦さん)のお衣装なんです、実は。肩にかけて一緒にまた踊っています」

未沙 「なつめも絶対喜んでいるよ。頑張れって応援してくれていると思います」

安寿 「(上を見上げて)頑張ります」

花組にとって、宝塚にとって、今も大切な星、大浦みずきさんを想い、会場が温かい拍手と涙に包まれました。

未沙 「今公演のレギュラーでもあるコムちゃんから、なにかエピソードはありますか」

朝海 「エピソードはたくさんありまして……」

安寿 「『TANGO』で組んでるでしょ、私が強いせいかよろけるんですよ(笑)」

朝海 「いつもよろけてしまって。ヤンさんが私の肩につかまるところがあるんですが、ガシッとダメよ!という感じでつかんでくださるんですが……毎日よろけないように試行錯誤しています」

姿月 「私は今日は瀬戸内美八さんとご一緒で。瀬戸内さんは私が受験前に舞台で拝見した方で、そんな方と一緒に舞台に立たせていただけるなんて……」

安寿 「私の初舞台の時のトップさんよ!!」

姿月 「ですよね。実は瀬戸内さんが歌ってらした『小さな花が開いた』は……」

安寿 「やったよねぇ。(姿月さんが)大きな子役(勘太)で(笑)」

姿月 「歴史をたどっているなあと感じました」

未沙 「私も鳳蘭さんがトップの時に初舞台でした。今日の「愛の宝石」がその時の主題歌でした。ちなみに、この公演のエピソードを私からもひとつ。オープニングで使うチケットにはちゃんと“公演期間中有効”って書いてあるんです」

この後、そのシーンについてのエピソードが楽しく語られたのですが、まだご覧になっていらっしゃらないお客様のために割愛させていただきます!!

安寿 「宝塚100年、私たちはそのうちのほんの一部しか在団していませんでしたが、ラインナップでズラリと並んで「すみれの花咲く頃」とか「OH!タカラヅカ」などを歌うと「あぁいたんだ私もここに」という気持ちになります。感慨深いですね」

未沙 「また原点に戻って、受け継いでいかなくてはいけない使命がありますね。」

安寿・姿月・朝海 (声をそろえて)「はい!」

この後お客様を置いてけぼりにしていないかを心配しながら、「盛り上がらなくてすみません。ついてきてくださいね」となぜか恐縮する安寿さん。その姿にまた客席から笑いが起こり、未沙さんの「ついてきていますよね?」の問いかけには、一段と大きな拍手で客席が応えました。

花組の皆さんの仲の良さと愛らしさ全開で開催された『スパルタカス』トークショーは、笑いと涙とそしてまた笑いとに包まれ、笑顔で終了となりました。

宝塚歌劇100周年前夜祭『DREAM, A DREAM』のアフタートークショーは、11月2日からの大阪公演でも開催が予定されています。スペシャル企画を堪能した後は話にさらに花が咲くことでしょう。ぜひスケジュールをチェックして劇場へ!

(文・栗原晶子)

『ムーンライト』トークショーレポート(10月19日17:30公演後)

豪華出演者で連日夢の舞台を繰り広げている『DREAM, A DREAM』。幕が降りた後も夢はつづくアフタートークショー。10月19日(土)の公演終了後は、『ムーンライトロマンス』トークショーが開催されました。登壇いただいたのは、花の69期生、高嶺ふぶきさん、麻路さきさん、トークゲストとして久世星佳さんが駆けつけてくださり、司会を出雲綾さんにご担当いただきました。
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出雲 「『ムーンライトロマンス』は、83年に月組で上演された私たち花の69期生の初舞台公演です。どんな思い出がありますか」

麻路 「この作品のオープニングは、大階段前のラインダンスからのスタートでした。ユキちゃん(高嶺さん)とノンちゃん(久世さん)が前で、私がその間の後ろ、ちょうど三角形の立ち位置でしたので、いつも二人の背中を見ていた記憶があります」

出雲 「初舞台生の割にはとても出番が多かったよね。日本物の『春の踊り~南蛮花更紗』も最後まで出ていて、その後の『ムーンライトロマンス』のプロローグも全員板付き(幕が上がった時に全員舞台上にいること)だったし、たくさん出番がありました」

久世 「東京の皆さんは多分ご存知ないのですよね、大劇場でしか上演しない作品だったので」

初舞台の稽古時の様子なども思い出しつつ、同期生トークは続きます。つづいて皆さんに宝塚の作品の中からお気に入りの作品、思い出深い作品について伺いました。

麻路 「私は『ベルサイユのばら』で宝塚を好きになったのですが、実際に客席で初めて観たのは『風と共に去りぬ』でした。当時は何もわからず宝塚=(イコール)『ベルばら』だと思っていたので、レッド・バトラーを観ながら「いつオスカル出てくるのかなぁ」って(笑)。そんな私が宝塚に入った後には、『ベルサイユのばら』も『風と共に去りぬ』にも出させていただきましたので、やはり思い出深いですね。それから個人的にとても大変だったけれど、今思うとあの作品を演じることができて良かったなと思うのが『エリザベート』です」

久世 「私は宝塚に入りたいと思ったきっかけが、中学の時に観た月組さんの『クラシカル・メニュー』という作品でした。未沙のえるさんや剣幸さんが出演されていまして、全編クラシックの曲で、お化粧も普通の宝塚メイクではなく、ジャパネスクっぽいメイクで。それがとても素敵で、宝塚ってこういう作品もあるのだなぁと思って音楽学校に入学を決めました。『クラシカル・メニュー』は宝塚に入るきっかけをくれた好きな作品の一つです。その他には、花組さんのレビュー『オペラ・トロピカル』が好きでした。マリコ(麻路さん)とよくショーを観に行ったよね」

麻路 「ショーを観に行っては音楽学校時代にバレエ教室なんかでよく真似していたよね。○○ごっこという感じで(笑) 」

久世 「タカラジェンヌというよりほとんどファン化していたよね。いつもマリコが率先して、ノンちゃん行くわよ!って」

高嶺 「私は学校に入る前に観た作品は忘れてしまったの。ちゃんと観て憶えておけばよかったなぁ。入団してから観て好きだった作品は花組さんの『メイフラワー』。お稽古しながら少しでも時間が出来たら走っていって袖でジーッと見ていました。自分が演じて好きだったのは、『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフと『仮面のロマネスク』のヴァルモンです」

出雲 「私は母がタカラジェンヌだったもので、お腹の中にいる頃から観ていたと思います。どの作品が一番好きって選べないけれど、こうして『DREAM, A DREAM』で皆さんが懐かしい歌をいろいろ歌ってくださっているのを聞くと「これ好き!この曲も好き!この作品大好きだった!」と思い出してとても楽しいです。客席の皆さんも一緒に歌ってくださっていたり、ニコニコしながら聞いてくださっていて、それを見ると思い出がいっぱいあるのだろうなとうれしくなってしまいます」

久世 「(『DREAM, A DREAM』の中で)剣様が歌う『ラ・ノスタルジー』の曲、懐かしかった。私もこれ歌ってた!なんて思い出して(『ラ・ノスタルジー』の曲の一節を軽く手振りをつけながら口ずさむ久世さん)」

高嶺 「私も杜さんが『花幻抄』歌われた時は、この髪をポニーテールにして後ろで若衆の一人として踊りながら通過しようかなってよみがえりました。振りもちゃんと覚えてるし(と、その場でカウントを取りながら足さばきを見せる高嶺さん)」

久世・出雲 「よみがえるよねぇ」

まるで宝塚の大辞典をめくるかのように、たくさんの作品タイトルが69期生のみなさんの口から発せられるたびに、客席の宝塚ファンの皆さんから感嘆の声があがりました。
最後に、宝塚を応援してくださるファンの皆さんへメッセージが贈られました。

久世 「先日行われた宝塚音楽学校の記念式典の時に、同期生から「うちの学年から2階席だよ」と伝えられて驚きました。1階席は全員上級生?(笑)宝塚ってすごいなぁ、100周年ってすごいと思いました。私たちなんて吹けば飛ぶような存在です(客席爆笑)69期生、まだまだひよっこです(笑)。宝塚は次の100年に向けて輝いていけるように、在団していた私たち一人一人、心の中に宝塚のことを抱きつづけながらこれからも頑張っていきたいと思います」

麻路 「100周年に向けた気持ちは私もノンちゃんと同じです。あとは本当に、皆さんお元気で(客席またまた爆笑)、この先110周年、120周年の時にも今日と同じように元気に座って宝塚を観ていただきたいと思います。私もその時に向けて頑張っていこうと思います。皆さま一緒に元気で頑張りましょう!」

高嶺 「いつまでも変わらず、150周年に向けてという意気込みで頑張れたらと思っております。宝塚は皆さまの愛情をたくさんいただいてきたからこそ100周年を迎えられるのだと思います。これからもずっと宝塚と私たちOGにその愛情をいただけたらと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

花の69期生による『ムーンライトロマンス』トークショーは、苦楽を共にした同期生らしく、司会の出雲さんの「起立!」「礼!」の掛け声とともに、大きな拍手に包まれながら終了となりました。

宝塚歌劇100周年前夜祭『DREAM, A DREAM』のアフタートークショーは、11月2日からの大阪公演でも開催が予定されています。『ムーンライトロマンス』トークショーは11月12日(火)13:00の公演終了後に、本日のメンバーに加えて同じ69期生の神奈美帆さんにもご参加いただき開催いたします。夢のつづきを大阪公演でもぜひ楽しんでみてはいかがでしょう

(文・栗原晶子)

アンドレトークショーレポート(10月17日13:00公演後)

『DREAM, A DREAM』からファンの皆さまへのスペシャルプレゼント企画として大好評のアフタートークショー。10月17日(木)の公演終了後は、「アンドレトークショー」が開催されました。登壇いただいたのは、日向薫さん、杜けあきさん、麻路さきさん、湖月わたるさん、彩輝なおさん、水夏希さんの6人。司会は竹下典子さんです。

『ベルサイユのばら』は、上演される度に、大きな反響を呼んできた宝塚にとってなくてはならない作品。13日に開催された「オスカルトークショー」にもご登壇いただいた榛名由梨さんが初演した『ベルサイユのばら』は世間に一大ブームを巻き起こしました。日向さん、杜さん、麻路さんがご出演された頃が第二期『ベルばら』ブームと言われています。そして、湖月さん、彩輝さん、水さんが出演した近年も『ベルサイユのばら』は不動の人気を誇る演目として続いています。さて、6人のアンドレからはどんなお話が飛び出すでしょうか。
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竹下 「杜けあきさんが出演された89年、雪組公演の『アンドレとオスカル編』が初演から15年ぶりの再演でした。その頃の思い出は?」

 「私は第一期の『ベルサイユのばら』を仙台にいる頃にテレビで観ました。その時初めて宝塚の存在を知り、入りたいと思いました。後にアンドレを演じることになった時は、本当に不思議な縁を感じました。これは運命なのだと自分に言い聞かせながら、幸せを噛みしめていたことを憶えています」

竹下 「ご出演当時、『ベルサイユのばら』のブームは肌で感じられましたか?」

 「すごかったよね、陽子ちゃん(日向さん)」

日向 「すごかったわよね、久美子ちゃん(杜さん) (笑) 」

 「特に東京の楽屋入りなどは、普段いらっしゃらないファンの方々も多くて、皆さん「サインをしてください」とマジックのキャップを取って待っているんです。楽屋に入ってから確認するとジャケットにマジックのインクがたくさんついていたり、紫苑ゆう様はよくもみくちゃにされていました(笑)」

竹下 「日向さんは、お客様にとってはフェルゼン役のイメージが強いかもしれませんがアンドレとしてご出演されたのは91年の『オスカル編』ですね」

日向 「はい、涼風真世さんのお披露目公演で、他の組のトップ全員が日替わりでアンドレを演じました。さえちゃん(彩輝さん)もこの公演で天海さんの役をやったよね」

彩輝 「研2の頃で初めて月組に配属された時に、東京公演で一幕のアンドレをさせていただきました。その当日、ネッシーさん(日向さん)のところにご挨拶に伺いました」

日向 「さえちゃんのことを小アンドレちゃんって呼んでました(笑)」

竹下 「麻路さんのアンドレ時代のオスカルはどなたでしたでしょうか」

麻路 「紫苑ゆうさん、涼風真世さん、安寿ミラさん、大輝ゆうちゃんと一路真輝さんです」

 「そんなにぃ~?」

驚く杜さん、驚きざわめく客席。

麻路 「毎日綺麗どころが側にいて幸せでした。それが、日向さんがフェルゼンを演じた『フェルゼンとマリー・アントワネット編』の公演です。この間のトークショーでも話が出ていましたがヤンさん(安寿さん)をはじめ、当時は皆さんすごいスケジュールの中でオスカルをやってらしたので、下級生のくせに(アンドレとして)“守らなきゃ”という気持ちでいました」

客席の皆さんは、一つのエピソードも聞き逃すまいと、トークショーに耳を傾けています。
皆さんの貴重な経験談から、アンドレ像もくっきりと浮き上がって見えてきます。

湖月 「実は私、日向さんのフェルゼンの時に研2で出ていました」

麻路 「私は新人公演で日向さんのフェルゼンの役をさせて頂きました。」

湖月 「東京公演のバスティーユのシーンで大ゼリが上がらないことがありまして、その時はアンドレとオスカルが橋の上と下ではなく、急きょ平場で演じたのです。それが迫真の演技で……。その日のバスティーユは燃えました。私は市民の男の役でした(笑)」

竹下 「彩輝さんと水さんは2001年の宙組の『フェルゼンとマリー・アントワネット編』でアンドレとオスカルを役替わりで演じられました。二人で相談しながら役作りをされたりしたのですか。またどんな点に苦労しましたか」

彩輝 「黙々と自分たちで役を作っていたのですが、気持ちや悩みどころは一緒でした」

 「そうですね、助け合いながら演じていたという感覚があります」

彩輝 「特に「今宵一夜」の場面は、たくさんの先輩方のお手本があったので、ビデオを見て研究させていただきました」

 「私もビデオはよく観ました」

竹下 「たくさん研究されて、なにがポイントだと思われましたか」

彩輝 「オスカルはやはり体が痛くなる形が一番綺麗に見えるということと、アンドレがそれをしっかり抱えるということです。形といえば私がオスカル役でアンドレ!と抱きついた時に、踵がこう開いてしまっていて(舞台に膝をつき、後ろ向きで実演しながら)、それをご覧になって演出の植田先生がパァーッと走っていらして、「さえ、踵、こう!」(開いた踵をくっつけるジェスチャー)と指導されたのを憶えています」

竹下 「オスカルを全身全霊で支えるアンドレを演じている時は、皆さん、楽屋でもオスカルに対して優しい気持ちになるものでしたか」

 「そうですね、やはり女性として見てた……という発言はおかしい?かもしれませんが、私は(オスカルが)一路ちゃんだったんですけれど、いつもは同士みたいな、兄弟みたいな役が多かったので、その時は女性として見てました(笑)」

竹下 「麻路さんは、相手がたくさん変わられましたが」

麻路 「オスカル役の方がいらした時に緊張しているのが手に取るようにわかるので、袖でもずっと一緒にいた気がします」

 「いつも見守っているんだよね。オスカルが早変わりしてても、アンドレは後ろで見守っているみたいな(笑)」

竹下 「そして麻路さんだけがアンドレのような方に巡り会えたのですね」

竹下さんからの突然すぎるピリ辛な一撃に、客席には拍手と笑いが充満。5人のアンドレは、のけぞったり胸を押さえたり、皆思い思いのリアクションです。恥ずかしそうに「ありがとうございます」と麻路さんはペコリ。
(気持ちを切り替えて?)皆さんに宝塚に入って良かったと感じるのはどのような時ですかと質問しました。

日向 「宝塚はファンの皆さまの温かい心に支えられているのはもちろんのこと、宝塚を愛しているスタッフの皆さんにも支えられています。素晴らしい先輩や後輩とともに同じステージに立っている今、宝塚に入って良かったと感じます」

 「最近いつも宝塚に入っていて良かったと感じています。今回の公演初日に一番感じたのはお客様の温かさです。とても楽しみにしてくださっている様子が伝わってきて、会場の雰囲気がピンク色という感じ。他の公演とは全く違います。初日はとても緊張していましたが、幕が開いたら一気にお客様と一つになれました」

麻路 「私は今、違う国で生活していますが、さすが100年の歴史がある宝塚。どこの国に行っても皆さんよくご存知なのです。「宝塚っていうところにいてね……」なんて話すと、「エッ、宝塚にいたの?」と感嘆されます。そんな宝塚に在籍出来たことが、世界のどこにいても誇りです」

湖月 「(前回のトークショーで感極まって涙腺がゆるんでしまった湖月さん、それを受けて元気に)今日は泣いたら楽屋に入れてもらえないことになっているので(笑)。『DREAM, A DREAM』に出演させていただき、宝塚の代表作の『ベルサイユのばら』に携われたのでこうして、今日のトークショーにも入れていただけて本当に幸せに思っています。一回一回頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします」

彩輝 「 宝塚に入れなかったら今の私はいませんでした。お客様からも温かくいろいろなことを教えていただいてきました。『DREAM, A DREAM』では、宝塚に入る前の時代の憧れの先輩方、下級生の頃に憧れていた先輩方とご一緒できるのも夢のようです。宝塚は厳しいと言われることもありますけれど、その厳しさの中に温かさがあって、その中で紡がれてきた伝統があって100年続いてきたのだと思います。改めて宝塚にいられたことを幸せに思っています」

 「宝塚のように美しく、明るく楽しく幸せな世界はほかにないと思います。昨日、この『DREAM, A DREAM』をテレビの情報番組で取材していただいたのですが、宝塚について話をしているうちに、自分がどれだけ宝塚のことが好きなのかを実感してしまいました。まだ宝塚を知らない方でも一度観ていただければ必ず夢中になれるという世界、やはり他に類を見ないと思います」

ステージに立つ皆さんが、それぞれ宝塚を愛する「宝塚ファン」でもあることを知り、客席の皆さんと心が一つになれた「アンドレトークショー」。アンドレがオスカルを最期の最期まで見守っていたように、100年先も宝塚を見守っていきたいと感じているお客様が多いことでしょう。

宝塚歌劇100周年前夜祭『DREAM, A DREAM』の東京公演は、折り返しを過ぎ益々盛り上がりを見せています。アフタートークショーは、まだまだ注目のラインナップが控えています。スペシャルゲストやドリームゲストのスケジュールもチェックして、夢の世界を何度でも味わってみませんか。

(文・栗原晶子)

「紫禁城の落日」トークショーレポート(10月15日13:00公演後)

『DREAM, A DREAM』の夢企画として反響をいただいているアフタートークショー。10月15日(火)の公演終了後は、『紫禁城の落日』トークショーが開催されました。登壇いただいたのは、星組のトップを華やかに飾ってきた日向薫さん、紫苑ゆうさん、麻路さきさん、稔幸さん、湖月わたるさんの5人。司会は竹下典子さんです。
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竹下 「1992年3月に東京で上演された『紫禁城の落日』は、日向さんのサヨナラ公演でもありました。どんな公演でしたか」

日向 「あの頃、星組は一本立ての大作が多かったのですが、『紫禁城の落日』は、宝塚が初めて昭和史を描いた作品でした。サヨナラ公演ということで、いつもとは雰囲気が違ってたかな?(と、お隣に座る紫苑さんに問いかける日向さん)」

紫苑 「全然違っていましたよ。あの作品までは私とネッシーさん(日向薫さん)とは敵対する役が多かったのですが、最後でようやく弟役(溥儀の弟、溥傑)を演じて見送らせていただきました。ネッシーさんが最後の場面でいつも涙を一筋流されたのが素敵でしたねぇ」

紫苑さんの言葉に「(もっと持ち)あげてあげて!」と手振りを付けて煽る日向さんに、客席からも大きな拍手が起こりました。

紫苑 「私は実在の人物で、当時ご存命の方を演じさせていただいたのでとても緊張しましたし、貴重な経験をさせていただきました。いただいた色紙は家宝にしています」

竹下 「最後の場面では、弟の溥傑が、溥儀に向かってようやく「兄上」と呼ぶという名シーンがありました。お気持ちがダブったりしたのではないですか」

日向 「ジーンときましたよね。紫苑さんが星組に配属になった時に私も月組から星組に変わったのでずっと兄弟みたいに一緒でしたから」

紫苑 「本当にすぐ上に自分の憧れの上級生としてネッシーさんがいて……」

その言葉を聞くなり「エーーーーー!」と驚く日向さんに「あげてるんです」と言葉を返す紫苑さん。兄弟のように今も息がピッタリのお二人の様子に、客席の皆さんの顔にも笑みがこぼれます。また、この日、スペシャルゲストとして第2幕に登場したお二人が歌った「ディガディガドゥ」は、湖月わたるさんの初舞台作品だったこともあり、懐かしい振付けも再現して披露したことを語ってくださいました。

竹下 「麻路さんは、『紫禁城の落日』では倉石というピアニストで日本人将校という役でした。どんな思い出がありますか」

麻路 「ピアノを弾くので緊張していたこともあるのですが、スパイのような役で、あまり溥儀役との絡みはなくて。最後のシーンでも芝居の中では私は泣いてはいけない立場の役だったので、そこでは我慢していたのを憶えています。フィナーレでは泣きました」

竹下 「稔さんはジャズマンの役でしたね」

 「そうでしたね、今思い出しました(笑)。私はどちらかというと、新人公演で日向さんのお役(溥儀)をさせていただいたことが印象に残っていて、ご存知の通り日向さんはとても身長が高いので、お衣装をお借りするときに一番きれいな飾りが隠れてしまって。それで衣装部さんが苦労して飾りが出るように直していただいたりしたのを憶えています。先ほどもお話に出たように「最後の場面で一筋だけ涙を流すんだぞ!」と教えられました。その練習を日々やっておりました」

紫苑 「あれは自然に流れてたわけじゃなかったのですか?」

日向 「銀橋の7:3で落とすのよ(笑)」

竹下 「湖月さんにとっては、『紫禁城の落日』はどんな思い出の舞台でしょうか」

湖月 「私はオープニングで日向さんの横を神田智さんと二人で……(感激の声で)子役だったんです!(立ち上がって振りを再現しながら)帽子に三つ編みをつけて、一幕のラストも高足っていうのを履いて、両手両足を広げて立っていたいのに、止まっていられなくて、などなどいろいろな思い出があります」

ここで司会の竹下さんから、「星組って体育会系の組ってよく言われていましたよね」という質問が。5人の元星組トップが一同顔を見合わせて沈黙。

日向 「大きいからですか。縮小したら可愛いのにね(笑)」

紫苑 「どちらかといえば芸術性の高い文化系だと思います(キッパリ!)」

と、サービス精神たっぷりのコメントに、客席のワクワク度も上がる一方です。この『DREAM, A DREAM』には元星組のトップの方々が10人も出演されています。そこでトップスターの苦労や幸せを感じたことは何ですかと皆さんに質問を投げかけると

日向さんが隣の紫苑さんに「どう?」
続けて紫苑さんが隣の麻路さんに、麻路さんが隣の稔さんに、稔さんが隣の湖月さんに「どう?」とジェスチャー。この元星組トップの絶妙な連携に客席は笑いを押さえられません!! 
トップスター経験者だからこそ語れる宝塚の思い出を最年少の湖月さんから順にお話しいただきました。

湖月 「トップさんが退団する時はとても悲しくてこの世の終わりのように思うのですが、自分が退団する時は皆さんに幸せに送り出していただけて、この立場でしか味わえない幸せがあるのだなぁと感じました」

 「そうですね、そうやって見送っていただいて皆それぞれの道に進んでいるのに、またこうして同じ舞台に集まることが出来るというのは凄いことだなと感じています」

竹下 「稔さんは卒業の日は白馬で楽屋入りされたのですよね」

 「はい、今日も白馬で参りました(笑)」

麻路 「私はトップというのは、とても忙しいのだなぁということが、トップになってみてからでないとわからなかったことでした。それなのに終演後にいつも遊んでくださっていた先輩方は元気だったんだなと(笑)私はヘトヘトでした」

紫苑 「私はもう、(トップだったことも、星組だったことも)幸せ以外のなんでもないです(またまたキッパリ!)」

「星組は居心地のいい組でしたか?」の問いには、5人全員で「はい!!」とキッパリ!
どこまでもチームワークの良さを見せてくれる皆さんです。

日向 「ご覧のように言わなくても解ってくれるメンバーが居てくれたので、私は星組にいてとても幸せでした。感謝の気持ちでいっぱいです。今回、こんな風に皆と会えたことも嬉しいです」

竹下 「現在の舞台や現役の方をご覧になって星組のカラーを感じることはありますか」

日向 「そうですねぇ……どこの組を見ても今じゃなくて良かった~と思います。踊りは難しいし、皆、歌も踊りもものすごく上手いから、今じゃなくて良かったって(笑)」

竹下 「紫苑さんは今、宝塚音楽学校で教えてらっしゃいますが、昔と今とは違いますか」

紫苑 「精神は一緒です(みたびキッパリ!)宝塚を愛しなさい、それが一番だと生徒には教えています。もっと濃く、熱く!! 今回のような公演を見ると上級生の方ほどやはりすごいです。その熱さや濃さが欲しいです!!!」

紫苑さんの熱い思いと宣言にまたまた大きな拍手が沸き起こったところで、最後に来年100周年を迎える宝塚への思いを伺いました。

日向 「こういう機会を得て、改めて宝塚の素晴らしさを感じていますし、今ここにいられることにとても感謝の気持ちでいっぱいです」

紫苑 「外で活躍されているOGの方は、宝塚の人って素晴らしいねという評価を受ける役目を担ってくださっていますから、音楽学校で教えている私は内側から、自分が伝えられるもの、宝塚が絶対に失くしてはいけない伝統をしっかり伝えていこうと思っております」

麻路 「OG公演の時に呼んでいただくと、私は海外から来るので、宝塚の素晴らしさをより感じられる気がしています。こうした公演も続いていってくれたらと願っています」

 「先ごろ開かれた宝塚音楽学校の100周年記念行事は、残念ながら伺えなかったのですが素晴らしい会だったと聞いています。来年春の宝塚歌劇団100周年の集いを楽しみにしたいと思っています」

湖月 「宝塚が大好きになって観ていた先輩方と、初舞台の頃からご一緒していた先輩方とこうして舞台に立つことが出来て、それをこんなにあたたかくお客様にご覧いただけて、宝塚ってすごい所だなぁと改めて感じました。こうして舞台を通して宝塚100周年をお祝いできることをとても幸せに思っています。これからも頑張ります」

感極まり、声を詰まらせ、目をうるうるしながら語る湖月さんを見て、客席でもハンカチで目頭を押さえる人の姿が。熱く、楽しく、そして絆が深い元星組トップスター5名による『紫禁城の落日』トークショーは、感動のまま幕を閉じました。

宝塚歌劇100周年前夜祭『DREAM, A DREAM』は、毎公演、舞台と客席が一体となって100周年に向け、明るく大きな夢を紡いでいます。アフタートークショーには、長年宝塚を愛しているファンの方々には涙もののスペシャルメンバーが出演します。もちろん、これから宝塚をもっと知りたいという方にもオススメです。
宝塚OGの皆さんによる夢のステージで酔いしれましょう。

(文・栗原晶子)

オスカルトークショーレポート(10月13日17:30公演後)

宝塚100年の歴史の中で、欠くことのできない不朽の名作『ベルサイユのばら』。オスカルを演じてきた宝塚OGがズラリと揃った夢のトークショーが10月13日(日)の『DREAM, A DREAM』公演終了後に開催されました。その名も「オスカルトークショー」。登壇いただいたのは、榛名由梨さん、杜けあきさん、安寿ミラさん、彩輝なおさん、朝海ひかるさん、水夏希さんの6人。司会は竹下典子さんです。

色違いの公演Tシャツを身にまとい、勢揃いした6人のオスカル様。
1974年『ベルサイユのばら』の初演でオスカルを演じられた榛名由梨さんのコメントからトークショーはスタートです。
写真

竹下 「初演オスカル様、当時社会現象とまで言われた宝塚の歴史を変えるような感動は憶えていらっしゃいますか。苦労した点などはありましたか」

榛名 「初日が開きまして一週間くらいは無我夢中でした。少しずつお客様の反応がわかるようになりましたが、(池田)理代子先生の劇画の中から出てくるものだから、「イメージが違う!引っ込めー」なんて言われるんじゃないかとすごくドキドキしました。金髪のカツラも初めてでしたし、(演出の)長谷川一夫先生がメイキャップも劇画のように真似て描きなさいとおっしゃって……真似たってね、描きようがないですよね、瞳はとにかく大きくて、星が飛んでるんですから、劇画では(笑)。イメージを壊さないようにということに一番 気を使いました」

竹下 「杜さんは全国ツアーでオスカルを演じられてますよね」

 「私は地方公演でオスカルをさせていただきました。皆さまにはアンドレのイメージしかないと思うんですけど。だから(トークショーに出るのは)いいです!って言ったんですが、一回でも演った人は出てくださいって言われて……。だからちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。ショーちゃんさん(榛名由梨さん)がおっしゃったように、劇画を見ながら目の中の星や額に「の」の字、あっ、「し」の字ですね(笑)、前髪を「し」の字につけたりするのを研究しました。それと普段男役はネイルをしないのですが、オスカルの時は許されて透明のネイルをしたのを憶えています」

オスカルのマル秘役作り情報に客席は爆笑。そしてネイルの話には「ホォーーーー」っと感心のため息が響きました。

竹下 「地方公演ではお客様の反応がいつもと違ったりはしませんでしたか」

 「この作品の魔力というか、威力というか、上演する度にお客様の集中力を強く実感していました。泣いたり、笑ったり、素直に反応してくださるお客様が多くてうれしかったです。ちなみに、地方公演ってセットが簡易的なんですよね。時計も階段も描いてあるし……(笑)」

杜さんからのお茶目な地方公演情報も飛び出したところで、つづいては安寿ミラさんへバトンタッチ。

竹下 「安寿さんは1989年、ニューヨーク公演から帰ってらっしゃってすぐのお忙しい中でのオスカルでしたね」

安寿 「星組さんに特別出演させていただいたのですが、ニューヨークから本体より一足先に帰ってきた時、伊丹空港で星組の方が全員白バラを持って迎えに来てくれたんです。(客席から黄色い歓声)そのあとどこかの家でお鍋を食べて(今度は爆笑)、次の日アンドレ役のマリコ(麻路さきさん)とお稽古をして……。あれほど人生で緊張したことはありませんでした。台詞はニューヨーク公演中に覚えました。みんながニューヨークを満喫している時に一人ホテルに閉じこもって「バスティーユ」を踊ったり(笑)」

『ベルサイユのばら』の名シーンの一つを意外な場所で練習していたという安寿さんの貴重なオスカル体験談を聞くことができました。つづいてはこの「ベルサイユのばら」が初舞台だった彩輝さんです。

彩輝 「安寿さんが役替わり公演でオスカルをされている時が初舞台でした」

竹下 「ご自分がオスカルをされることになったときはどんなお気持ちでしたか」

彩輝 「私は91年に月組に配属された時の新人公演で初めてお役をいただきアンドレをさせていただいて、2001年の専科時代に宙組でオスカルをさせていただき夢のようでした。私もプロローグが劇画からの登場だったのでとても緊張しました。「し」の字の前髪ものりで貼りましたし(笑)」

竹下 「朝海さんも『ベルサイユのばら』が初舞台ですね」

朝海 「はい、月組の公演です。その時も杜けあきさんがアンドレで特別出演されていまして」

 「ホントに? 月組で? まぁ~~」

朝海 「そして彩輝さんが私たちの一期上でご指導いただいた先輩です」

竹下 「オスカルをなさった時は、飛んだんですよね、空中を!」

朝海 「はい、飛びました。植田先生が考えてくださった演出でペガサスに乗って飛びました!実は高い所がすごく好きなので楽しかったです。皆さん上を見てくださるんですけれど、呆気にとられている方とか、皆さんの表情がとてもよく見えて、それもすごく楽しかったですね(笑)」

朝海さんは空中から客席の様子もしっかり確認しているオスカル様だったことがわかったところで、次きは彩輝さんと同じ公演に出演されていた水さんに伺いました。

 「私たちはオスカルとアンドレを役替わりで演じていました。(彩輝さんと顔を見合わせながら)大変でしたね。「今宵一夜」の場面など、オスカルもアンドレもお稽古していたので、全部一人で出来てしまうみたいな(笑)」

彩輝 「水ちゃんのオスカルの回なのだけど、自分のオスカルはどうだったっけと思ったり」

 「そう!!舞台でオスカルを演じた後に、アンドレのお稽古をしたり、その逆だったりもあったので。その公演は、榛名さんにご指導いただきました」

 「ラブシーンではぎっくり腰になるくらいしっかり反りなさいと教えていただきましたね」

榛名 「十八番の動きというのがあるので、その形は出来る限り残していったほうがいいという長谷川先生の教えをお伝えすべく平成元年から教えに行っています。演じる時には、その人自身が役に出ますから、何かを真似るのではなく、型にはまらずハートで動くことを大切にということも伝えています。ただしラブシーンは特に美しくあるべき、美しさは宝塚のモットーとするところですから」

初代オスカル様の言葉に、歴代オスカル様たちの背筋がいっそう伸びます。こうして代々受け継がれてきたものが宝塚の美学なのだとお客様も大きくうなずいているようで、さらに男装の麗人オスカルを演じた際の気持ちや心がけたことを聞いてみると

安寿 「私はもともと劇画が大好きで、下敷きにオスカルの絵を入れているくらいずっと好きだったので、ただただうれしくて。私がいる時代に『ベルサイユのばら』という作品があって、しかもオスカルを演じられるというのが幸せでした。私の時はフィナーレで「ボレロ」があったのですが大階段で大きく体を反らせて踊るのはとても怖かったですね」

 「私ははじめにアンドレを演じていたので、オスカルになったときに、愛されるってこんなに幸せなの!と思いましたね。いつも愛してばっかりだったから。アンドレが死ぬシーンでは、エッ!?と思うほどしゃくりあげて泣く自分にびっくりしました。女の気持ちってこうだったんだって」

安寿 「そう、忘れてたからね……(笑)」

これぞ「オスカルトークショー」。場内に巻き起こる笑いと拍手!! 

竹下 「安寿さんは今回のようなOG公演には初めての出演ですがいかがですか?」

安寿 「みなさんの歌稽古を聴いた時、どーっと泣いてしまいました。初めてなので緊張もしていたのですが、稽古場が和気あいあいとしていて、一つのものに向かっている楽しさに満ちていて」

 「稽古場が一つの組みたいでしたよね」

竹下 「では最後に来年100周年を迎える宝塚への思いをお聞かせください」

彩輝 「100年も歴史が紡がれてきたというのは本当に素晴らしいこと。自分もその宝塚の歴史の中で過ごせたことを誇りに感じています」

朝海 「100年の重みをこの公演に出演しながらも感じています。この思いと歴史を後輩にもつないでいけるように頑張っていきたいと思います」

 「今回の公演で、客席のわくわく感や鳴りやまない拍手をステージや舞台袖から強く感じています。こうしてお客様とともにここまできた100周年なのだということを実感しつつ、『DREAM, A DREAM』って本当に素敵なタイトルだなぁと思っていて、まさにここが私のDREAMという気がしています。生まれ変わっても宝塚に入りたいですね。」

榛名 「小さい頃から地元で見続けてきて、絶対に入りたいと思っていたこの宝塚は、男役の美学を見せる世界で唯一の劇団です。OGになってからも皆は可愛らしくなってるけど、私なんていまだに男役しているからね、無法松の松五郎やってるからね(笑)、死ぬまで男役やるんじゃないかなと自分で思うくらいです。世界で唯一のこの宝塚で皆さんに夢の世界に浸っていただき、これからもお客様とともに夢を紡いでいけたらと思います」

煌めきがいっぱい、夢がいっぱい、笑いもいっぱいの「オスカルトークショー」は、6人のオスカル様に向けて、客席から大きな拍手が贈られて終了となりました。

宝塚歌劇100周年前夜祭『DREAM, A DREAM』公演は始まったばかり。
宝塚ファン必見のアフタートークショーもまだまだ予定されています。東京公演、大阪公演ともスペシャル企画が目白押し。さあ、宝塚OGの皆さんと一緒に夢を紡ぎに劇場へ足を運んでみませんか。

(文・栗原晶子)