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花總まり・瀬奈じゅん
ビジュアル撮影レポート
2011年に韓国で公開された映画『SUNNY 永遠の仲間たち』。自分たちのグループを“SUNNY”と呼んで、一緒に音楽を聴いたり、踊ったり、時には羽目を外したり、派手にケンカをしたり、恋をしたり……、そんな多感な高校時代を共に過ごした女子たちが、四半世紀の時を経て再会する。今は生活に疲れ、それぞれに悩みを抱える彼女たちが、キラキラしていた青春の日々を振り返り、失いかけていた輝きを再び取り戻していく物語は、多くの女性たちの共感を呼び、大ヒットした。
それを受けて、香港やベトナム、インドネシアなどアジア各国でもリメイク版が作られ、日本でも2018年に、物語の舞台を1990年代半ばと、現代(2018年)の日本に置き換えた『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が、篠原涼子、広瀬すずのW主演で制作され、大きな話題を呼んだ。
そして2023年6月、世界で初となるミュージカルバージョンの新たな『SUNNY』が幕を開ける。舞台版では、“過去”のSUNNYは1980年代の女子高生という設定になるそうだ。
2022年11月、都内のスタジオで、大人になったSUNNYの1人、奈美を演じる花總まりと、同じく大人のSUNNY、千夏役の瀬奈じゅんのビジュアル撮影が行われた。
まず、花總がスタジオに入る。SUNNYのメンバーにはそれぞれテーマカラーがあり、奈美はピンク系。鮮やかな赤紫色のカーディガンに、裕福な暮らしぶりを窺わせるパールの三連ネックレスとイヤリングが印象的だ。現代の奈美は夫と娘の3人暮らしで、家庭に入った今も若々しく美しい。しかしエリートの夫は仕事が忙しく、家族をかまってやれない代わりに、何でも金で解決しようとするような人物、高校生の娘はだんだん扱いが難しくなってきた年頃だ。
花總はそんな、世間から見れば幸せだがどこか満たされない思いも抱いている奈美という女性を、カメラの前で繊細に表現していく。宝塚のトップ娘役として12年を超える歴代最長記録を持つ花總は、バッグの持ち方やスカーフの扱い方まで、既に奈美そのものに見え、カメラマンや、周囲で撮影を見守るスタッフからは、「かわいいです!」「ああ、いいですねえ。いいところの奥様という感じです」と、感嘆の声がかかる。
花總も、役についてプロデューサーに確認したり、自らポーズを提案したり、いい雰囲気で撮影が進んでいく。カメラマンの注文に応えて次々と表情を変えていく花總の様子をモニターでチェックしていたデザイナーが、思わず拍手を送る。隣でモニター画面を見つめる演出家の目も真剣で、この花總の様子から、逆にインスピレーションを受けたのかもしれない。
続いて動画の撮影が始まる。ブルーバックの前で、SUNNYの「N」の文字を持ち、「サニー!」と声を張り上げる花總。「もうちょっとテンション高めで」と指示が出ると、すぐに求める以上の答えを出してくる対応力に、スタッフたちからは「素晴らしい!」と声が上がる。
撮影開始から1時間後、別のスタジオに移動して、千夏役の瀬奈じゅんも加わり、2ショットのコメント撮りが行われた。
花總と瀬奈は、宝塚歌劇団の77期と78期という関係で、組こそ一緒になったことはないが、音楽学校時代から1期違いでよく知っている同士。久しぶりの顔合わせということもあって、ライトの調整を待つ間もおしゃべりが止まらない。
瀬奈が演じる千夏は、高校時代、SUNNYのリーダーで、田舎から都会の高校に転校してきて嫌がらせを受ける奈美をかばい、仲間に誘ってくれた頼もしい存在だ。現代の彼女は起業して成功を収め、独身生活を謳歌していたが、人生が急転。奈美がそんな千夏と偶然出会ったことから、SUNNYの再集結を目指し、メンバーの行方探しが始まるのだ。
瀬奈は、千夏のテーマカラーであるグリーン系のコートにパンツというスタイルで、いかにもバリバリ働いている女性らしく、動きも颯爽としている。この辺りはさすがに月組の元トップスターとしての経験が生きて、何気ない動作までカッコいい。
作品に合わせて学生時代についての質問が出ると、2人とも宝塚音楽学校時代のエピソードを披露して、楽しそうに笑い合っている。その後もデザイナーの指示で抱き合ったり、自然と同じポーズが出たりと、早くも奈美と千夏のように息もぴったりで、あまりの仲よしぶりに、「もう少しカメラを意識して」と、逆に言われてしまうほど。撮影の合間にも、スマホで2ショットを撮り合ったり、終始和やかな雰囲気でテンポよく撮影が進み、開始から2時間後、2人が顔を寄せ合う動画を撮ったところで「OKです!」の声がかかった。2人は抱き合って、「ありがとう!」と互いをねぎらい、撮影は無事終了。
作品の中では、あふれる思いを芝居はもちろん、SUNNYたちが高校時代に聴いていた懐かしい80年代のJPOP楽曲で表現するのだが、特にダンスシーンでは、80年代の象徴とも言える「バブリーダンス」で一世を風靡した、akaneの振付によるダンスナンバーが披露される。これも大きな見どころの1つだろう。そしてラストシーンは、大人のSUNNYたちが、それまで抱え込んでいた悩みや苦しみをひと時忘れ、人生の主役に戻ってボニーMの「SUNNY」を踊る。映画版でもたくさんの人々の感動を誘ったこのシーンを、花總たちがどんな風に彩ってくれるのか、撮影風景を見て、さらに楽しみになってきた。
(文・原田順子)
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