プロジェクトストーリー
東京事業部
東京事業部では主に、当社が一から創り上げる自主制作公演に関して、各部署が様々な業務を行っています。
プロジェクトストーリーの「東京事業部」では、各部署の社員が担当した自主制作公演を取り上げ、各公演に携わり始めてからの時間軸に沿って、実際のエピソードも交えて業務内容について紹介していきます。
- 東京事業部 営業・管理担当
- 東京事業部 広報宣伝・メディア開発担当
- 東京事業部 制作担当
東京事業部 営業・管理担当
-
武井 宏文
所属部署:
東京事業部 営業・管理担当入社年:
2014年入社入社の決め手:
自社コンテンツを作れる会社だから梅田芸術劇場はこんな会社:
大変だけどやりがいのある会社
営業視点で公演制作にも関わりながら、
より多くのお客様に作品をお届けする
今回お話しいただいた公演:
ミュージカル『マタ・ハリ』
東京/2021年6月
(その後、愛知公演・大阪公演あり)
- 公演2年〜
1年半前 - 制作担当が進める自主制作公演の企画において、公演の特性を把握して、 “より多くのお客様にご購入いただける”公演になるようキャスティングの傾向や公演情報の解禁方法などに対して、営業的な視点から制作担当にアドバイスをします。『マタ・ハリ』は、主演の2人(Wキャスト)が宝塚歌劇出身の女優に決定していたので、残りのメインキャストについては、宝塚歌劇に限らずミュージカルファン全体からの認知度があり、他のミュージカル作品での実績のあるキャストが良いのではと意見を出しました。音楽、ダンス、ストーリーなど世代を問わず広く訴求できる力を持った作品であり、ミュージカル観劇を日頃から好まれるお客様に確実に公演の魅力を知っていただくことが必要だと考えたためです。公演情報についてはなるべく早めに解禁することを意識し、主要キャストの出演公演があれば、それに合わせてチラシを準備します。東京では梅田芸術劇場の知名度がまだまだ低いのですが、宝塚歌劇に関連するキャストや演目は人気が高く、営業においても大きな強みになっています。
- 公演1年半〜
半年前 - 公演のターゲット層に合わせて開演時間や上演回数を検討し、「星取(ホシトリ)」と呼ばれる日程表を作成します。日程が決まれば、キャストのファンクラブや梅田芸術劇場ネット会員向けの先行販売でチケットの申込みがどの程度見込めるか、過去のデータをもとに予測し、各公演の特性を汲んだ販売計画を立てます。本公演では、フランク・ワイルドホーンが作曲を手掛けており、魅力的な音楽で構成されたミュージカルであるため、楽曲を前面に押し出してミュージカルファンに向けた宣伝を行う等、演目の特性に合わせた施策を提案しました。その他でも、例えば子どもに観てもらいたい演目は年齢制限を下げたり、原作のコミックに先行申込専用のQRコードを付けていただくなど、元々ミュージカルに興味のある人以外にもできるだけ多くの人に観てもらえるよう売り方にも工夫を凝らします。
販売全体に大きく影響する大人数の団体や、修学旅行や企業の周年行事で観劇を希望される団体については、この時期から提案をスタート。公演の特性によってこれまでにお取引の無かったお客様にご提案をすることもあり、以前、フラメンコを題材にした公演を受け持ったときには、都内のフラメンコ教室にも提案を行いました。 - 公演半年前〜
3か月前 - チケットの先行販売や一般発売のタイミングをチケット担当と検討し、最適な販売スケジュールを作成。販売可能な座席と適切な販売数を管理しながら、ファンクラブ、梅田芸術劇場ネット会員、プレイガイド等の先行販売を順次スタートします。
企業の福利厚生、販売促進キャンペーンでの活用や旅行会社、医師会や税理士会などの有識者組織といった団体など、新規団体への提案も継続して行います。 - 公演2か月〜
1か月前 - チケットの一般発売がスタート。ここでは、先行販売の傾向や残席状況も勘案しながら、適切な在庫管理を行うことが大切です。
本格的に稽古が始まると、公演の内容や魅力を発信するための画像やコメントなどの素材が増えるので、広報担当と連携し、プロモーションを絡めた販売なども準備します。 - 公演直前〜
公演中 - 今後の公演のチラシや感染対策のPOPなど、劇場で必要な物品を準備します。公演中は劇場に常駐し、来場者の案内、当日券やグッズ販売の管理、現金の精算などを行います。
このように、作品の企画から公演中のフロント業務まで、幅広い業務に関わるのが東京営業の特徴。そのため、営業活動に割く時間も短くなりますが、お客様にはDMで情報を発信してから個別の提案を行うなど、効率良く動くことを常に意識しています。お金に関わる仕事だけでなく、良い作品を生み出すためのクリエイティブな仕事も多く、自分たちの作品を多くの人に届けているという実感が一番のモチベーションです。
東京事業部
広報宣伝・メディア開発担当
-
大塚 愛恵
所属部署:
東京事業部 広報宣伝・メディア開発担当入社年:
2012年入社入社の決め手:
ミュージカルや宝塚歌劇など、演劇が好きだったから梅田芸術劇場はこんな会社:
社員全員の顔が見えるちょうどいい距離感の会社
新たな収益の柱・ライブ配信などの二次展開を推進する
今回お話しいただいた公演:
エリザベートTAKARAZUKA25周年
スペシャル・ガラ・コンサート
大阪/2021年4月5日〜11日
梅田芸術劇場メインホール
東京/2021年4月17日〜5月5日
東急シアターオーブ
- 公演企画時
- 本作は奇跡の豪華キャストが集まり、チケット入手が困難な人気の高い公演になることが予想されていました。会場でご覧になれないお客様のニーズを、ライブ配信・DVDといった二次展開を通じて楽しんでもらいたいと考え、権利元に交渉し、権利を取得しました。
コロナ禍をきっかけに始めたライブ配信は地方のお客様等、頻繁に劇場に来られない方のニーズもあり、当社の重要な事業の一つとして今後も拡大していきたいと考えているため、可能な限り実施できるように交渉を行っております。 - 公演4か月前
- 本公演は日替わりで様々なキャストが登場します。そのため、配信・収録日を決定するにあたり、今回キーとなったのは、どのバージョンのライブ配信、ライブ・ビューイング(以下LV)を行い、どのようなDVDを作るかということです。多彩なバージョン、お客様の需要、収録・配信に掛かる費用、限られたDVD尺、全キャストを網羅することも重視しながら、ライブ配信6回、LV3回、DVD用収録6回を行う実施計画を立てました。
- 公演2~
3か月前 - 実施計画に基づき、関係各所と契約・覚書交渉を取り交わし、収録・配信事業者(4社)の選定・準備を進め、プロモーションプランを策定。PCやスマホでどこでも楽しめるライブ配信と、映画館の大画面で楽しむLVと、それぞれの魅力があります。複数の配信事業者に依頼をしたのは当演目が初めての試みでしたが、それぞれの事業者の強みや特徴を知る良い機会になりました。
- 公演1ヶ月前
- 収録会社とLV事業者とともに会場を下見し、動線や機材設置場所などを事前確認。会場の利用時間内に収まるよう、劇場や収録会社、公演スタッフの方々と作業スケジュールの調整など現場まわりの確認事を行いました。また、情報リリースに向けて公演HP等準備も進めていきます。
- 公演直前・
公演中 - 収録会社のディレクターとともにゲネプロ(通しリハーサル)を見学し、本作の撮り方、見せ方、作品の見どころやお客様に伝えるべきポイントを話し合います。
4月5日に初日の幕が開きお客様も大好評、ライブ配信も順調に進む中、突如緊急事態宣言が発令され、4月28日以降の公演は客席にお客様をお迎えして上演することができなくなりました。この奇跡の公演が中止になるのかとお客様やキャスト・スタッフが悲嘆にくれる中、なんとか上演するためにプロデューサーと協議を重ね、急遽、無観客ライブ配信公演へ切り替えました。目の前に応援してくれているお客様がいない “無観客公演”というものを誰も経験したことがない中で、カメラの向こうで何万人ものお客様が“観てくれている”という実感を全員が強く持ちながら舞台を務め、5回の無観客公演は大興奮に包まれました。
ライブ配信中はSNS等チェックし、お客様の感動・興奮が手に取るように感じられました。本来、劇場でしか感じることのできない一瞬を、画面越しではありますがライブで感じていただき、大変満足していただけたのではと思います。 - 公演後
- DVD発売日に向け、ダイジェスト収録回のシーンセレクトや作品に合ったデザインの工夫等、業者と映像・印刷物の編集作業や権利元への確認を行いました。また、DVD発売後にはBD(ブルーレイ)化の要望を沢山いただきました。キャスト、スタッフはじめ、このような時期に大変な想いをしながら創り上げた当社制作公演を、新たな二次展開として需要があり、より多くの方に楽しんでいただけるのであればと、BD発売を決定しました。
ライブ配信やLVなどの二次展開は、新たな収益の柱として会社からの期待も高く、特に、ライブ配信は時間や空間の壁を越えて多くの方に演劇に触れてもらう機会を提供できる可能性のあるものですので、やりがいのある業務だと感じています。
東京事業部
制作担当
-
安藤 悠希
所属部署:
東京事業部 制作担当入社年:
2019年入社(2018年10月よりインターン)入社の決め手:
規模の大きい国際プロジェクトに関われると思ったから梅田芸術劇場はこんな会社:
川上から川下までの激流下り
公演の立ち上げから千秋楽まで、
共に走り抜ける
今回お話しいただいた公演:
ミュージカル『アナスタシア』
※ブロードウェイミュージカルを本国のクリエイティブスタッフと日本のキャストで
上演するレプリカ公演東京/2020年3月1日〜28日
(緊急事態宣言発令のため一部公演中止)
大阪/2020年4月6日〜18日
(緊急事態宣言発令のため全公演中止)
- 2019年3月〜
6月 - 私は2019年4月に入社しましたが、それ以前に半年間のインターンシップを経験しており、初めてかかわった公演がミュージカル『アナスタシア』でした。本公演は私のほかにチーフプロデューサーとサブプロデューサーが1名ずつの、合計3名のチームで取り組みました。私が最初に携わった仕事は、ブロードウェイ公演の演出補、音楽監督補、振付補等の海外スタッフが、プリンシパル(メインキャスト)とアンサンブルのオーディションを実施するために来日した際の対応です。応募者を募るためのオーディションの案内や、スケジュールの作成、応募者プロフィールの英訳など、準備業務に加え、海外スタッフの滞在期間中のサポートも行いました。プロデューサーはキャストの選定についても常に自分なりの意見を持ち、必要に応じてスタッフ等に進言することもあります。
本公演はレプリカ公演ですので、セットや衣裳は本場ブロードウェイの公演と同様の作りにしなければなりませんでした。セットは海外から購入することが決まっており、輸入したセットを日本の劇場に納める際の調整等について、日本の技術監督も交えた話し合いをチーフプロデューサーと進めるなど、海外チームとのやり取りが多く必要だったため、交渉の内容や進め方など、制作として重要な業務を学ぶことができました。
なお、私が入社して本公演に携わる前に、上演に向けた権利交渉や、キャストオーディションに関するリサーチ、セットの購入交渉等は既に進められていました。 - 2019年7月〜
8月 - 公演情報解禁に備え、チラシやHPなどを作成。素材は権利元から提供されたものを使用し、つど権利元に確認しながら作成を進めました。
衣装についても、この時期から準備を開始。豪華絢爛な衣装は本公演の大きな見どころですから、海外の衣装デザイナーと日本の衣装制作会社と共に、全キャストの衣装(186着)を生地から選定し、日本にないものはヨーロッパやニューヨークから取り寄せるなど、特別なこだわりを持って製作するべく、海外への問合せ及び交渉等を行いました。衣裳関係は交渉・手配の大部分を任せてもらっていたので、自らが海外スタッフと密にコミュニケーションを取りながら、一つずつ進めていきました。
同時に、舞台装置、音響、照明、など、各セクションの担当者と日本側の担当者をつなぎ、今後の準備内容やスケジュールの確認なども進めていました。 - 2019年9月〜
12月 - 訳詞家が日本語に訳した歌詞が原作の意図通りになっているか、歌いやすいかどうかを確かめる検証会が実施され、完成した日本語詞は、再度英訳してオリジナルの脚本家・作詞家に提出し、そのフィードバックに合わせて内容を調整、ブラッシュアップしていきました。
12月には主要キャストを集めた制作発表会を実施。公演の稽古開始はまだ先でしたが、キャストの皆さまに協力をお願いし、楽曲を2曲披露いただきました。また、より多くの層の方々に興味を持っていただくため、本作の魅力の一つでもある主役のドレスをお披露目したいと考えましたが、その時点では日本公演用の衣装は完成前でした。そのため、他国の公演で使用していた衣裳を借りるために海外との交渉を行いました。事前の準備は大変でしたが、来場者の反響も大きく、期待値の高さを感じました。
海外スタッフや日本のキャストとの契約もこの時期に行いました。そうした契約以外にもレプリカ公演は契約が多く、本公演では海外15本、国内30本の契約を締結しました。契約書の確認もプロデューサーの大切な仕事の一つです。 - 2020年1月〜
公演直前 - 演出補、音楽監督補や振付家など、海外スタッフが来日し、稽古場での稽古がスタート。稽古場での稽古期間が長く、舞台稽古期間が短いことや、短時間で仕込みを行うことなど、海外とは異なる日本の慣習に沿って進めるのは非常に難しく、何度も海外スタッフと日本スタッフの間に立って打合せを重ねて理解を得るよう努めました。また、劇場での搬入やセット仕込み期間が始まると、海外スタッフの数は約20名強に増えました。それらの方々のフライト・宿泊の手配、滞在中のケアは私が任されていたので、密にコミュニケーションを取りながら進めていきました。
- 公演中〜
公演終了後 - 開幕後は楽屋裏で待機し、キャストとスタッフをサポート。問題が起こればその都度解決しながら、公演を見守ります。
今回は、公演中に緊急事態宣言が発令され、残念ながら東京の14公演しか上演することができませんでした。生まれたばかりの作品が手から零れ落ちていくような、やるせない気持ちになったのを覚えています。ですが、たった14公演ではありましたが、アナスタシアはお客様からの評価も高く、当社にとっても思い入れのある作品。長く愛される作品になるよう大切に育てていくつもりです。また、その後は世界初演ミュージカル「The Illusionist-イリュージョニスト-」を担当。これらの公演で学んだことを活かして、今後もプロデューサーとして精進していきたいと思っています。