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初日観劇レポート

2008年、大阪のみで上演され、ファンの間では「幻のコンサート」として語り継がれてきた『ウィーン・ミュージカル・コンサート』。
今年、5年の時を経てついに、第2弾として東京・大阪2都市での上演が実現。
6月5日、Bunkamuraオーチャードホールでその幕を開けた。

日本でも上演され、爆発的な人気を誇るウィーンミュージカル5作品とウィーン版『ロミオ&ジュリエット』の名曲を生オーケストラと本場ウィーンの実力派ミュージカルスター達の歌声でたっぷりと味わえる本公演。今回は新たな趣向として、実際に本場ウィーンの舞台で使用された衣装を着用してのパフォーマンスが見られるとあって、前回以上に、耳だけでなく目でもウィーンミュージカルの世界を楽しめるコンサートとなった。

キャストは、『エリザベート』来日公演などで、既に日本でもおなじみのマヤ・ハクフォート、ルカス・ぺルマンに加え、現在ウィーン・ライムント劇場で公演中のフレッシュなのトート&エリザベートのマーク・ザイベルト、アンネミーケ・ファン・ダム。さらに、超実力派のケヴィン・タート、イングヴェ・ガーソイ・ロムダールという最強の布陣が実現。そして歌に踊りにと大活躍の6名のアンサンブルもそろって来日。
さらに、東京・Bunkamuraオーチャードホール、大阪・梅田芸術劇場公演のみ上演のAバージョンでは、日本と同じくウィーンミュージカルブームが巻き起こっている韓国より、オク・ジュヒョンがゲスト出演する。(7/5,6,13,14,15公演のみ)

舞台上には、シンプルなセットと21人編成のオーケストラ。舞台横には招聘版『エリザベート』などでも好評だった日本語字幕が設置され、曲ごとに日本語訳が表示されるため、ミュージカル初心者はもちろん、日本語版のファンにとっても、ドイツ語版との歌詞の違いを確認したりと、様々な楽しみ方ができる。


♪愛のデュエット

まずは、おなじみ『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のオーバーチュアから。赤い照明が光り輝き、一気にボルテージが高まる。ナンバーの中心となるのは、主役のクロロック伯爵を1000回以上演じてきた、ケヴィン・タート。
クロロック伯爵のトレードマークである黒のマントを身にまとい、その重厚な歌声を風格たっぷりに聴かせてくれる。
幕開きからコンサートは思えないほど『ダンス・オブ・ヴァンパイア』の世界観に引き込まれるのは、クロロック伯爵のエキスパートとして長年自らの役柄に命を吹き込んできた、ケヴィンの圧倒的な演技力、歌唱力の賜物だろう。


続いて、ガラリと曲調が一変し、『ルドルフ』のナンバーへ。ここでは、『エリザベート』のルドルフ役として日本でもおなじみのルカス・ぺルマンが、同じ人物を題材にした『ルドルフ』のルドルフのナンバーを歌うとあって、注目が集まる。アンネミーケ・ファン・ダムとのデュエット『それ以上の……』では、華やかな二人の姿、フレッシュな歌声がロマンティックなメロディーにマッチ。『エリザベート』のルドルフ像のイメージともまた違った、爽やかに愛を謳いあげるルカスルドルフにきゅんとした方も多いのでは?

ここで、キャストへのインタビューコーナーへ。前回も好評だったキャストインタビューは今回も引き続き実施。
日本語を披露してくれたり、思わぬこぼれ話が飛び出したりと、キャストのお茶目な一面が垣間見え、客席からは笑い声もあがり、和気あいあいとしたひと時に。

そして、いよいよ1幕のラストを飾る『モーツァルト!』へ。『モーツァルト!』のドラマを7曲にぎゅっと凝縮。
ここでしか見られない夢の組み合わせというコンサートならではの楽しみはもちろん、衣装を着けてのパフォーマンスとあって、コンサートの域を超えた、ドラマ性を感じる構成になっている。
『モーツァルト!』の中心となるのは、ウィーン初演版で主役のヴォルフガングを演じた、イングヴェ・ガーソイ・ロムダール。
登場の瞬間から、その存在感に圧倒。舞台上をインスピレーションの与えられるままに動き回り、表情豊かに魂の求めるままに歌う姿は、まさにヴォルフガングが憑依したようにも見え、初演から14年を経て、ここ日本で彼のヴォルフガングを見られることが奇跡のように感じられる。「星から降る金」、「何故愛せないの?」など計7曲、ラストの「影を逃れて」まで、息つく暇もなく繰り広げられるナンバーは圧巻。


  • ♪僕こそ音楽

  • ♪星から降る金

  • ♪影を逃れて

2幕は、『ロミオ&ジュリエット』のキャッチーなメロディにのせて華やかな衣装を着たアンサンブル6名のダンスから幕が開ける。
ルカス・ぺルマン、マーク・ザイベルトという『ロミオ&ジュリエット』ウィーン初演版のロミオ、ティボルトによる当時の衣装を着用してのパフォーマンスは、日本はおろか本場ウィーンでもレア。
中でも、ルカス、マークがアンサンブルと共に歌い踊る「世界の王」は、客席も巻き込んでのにぎやかなナンバーになっており、初演当時から更にパワーアップした二人の歌声と姿を間近に体感できる客席からも一段と大きい歓声が。

続いて、『レベッカ』へ。ダンヴァース夫人のナンバーで、熱く盛り上がった場内が一気に静まり返り、ひんやりとした空気感に。
大迫力の「レベッカ」のナンバーの絶唱とも言えるパフォーマンスには、ショーストップしそうな程の大きな拍手に。


  • ♪世界の王

  • ♪レベッカ

ラストを飾るのは、『エリザベート』。 エリザベートを1000回以上演じ、昨年ラストエリザベートを演じたマヤ・ハクフォート、 現在ウィーンで上演中の『エリザベート』でエリザベートを演じる新世代のディーヴァ、アンネミーケ・ファン・ダム、韓国の『エリザベート』でエリザベートを演じ、韓国ミュージカル界を代表する歌姫、オク・ジュヒョン。ゲストも含めると3名のエリザベートが集結。更には、かつてルドルフ役を演じ、再びウィーンで同役を演じるルカス・ぺルマン、現在ウィーンでアンネミーケとタッグを組み、トートを演じている、マーク・ザイベルトという時代・国境を越えた組み合わせでの豪華な組み合わせが実現。
マークがワイルドな容姿とのギャップが魅力的な甘い歌声でエリザベートを誘惑すれば、力強い歌声でトートの誘惑に抗おうとするアンネミーケ。
オク・ジュヒョンのどこまでも響き渡るような深い歌声に聴き惚れれば、『エリザベート』の1シーンをそのままそっくり取り出したような“熱演”を見せてくれる、まさにエリザベートの真打ち、マヤ・ハクフォートには魂を揺さぶられる。気づけば、目くるめく名曲にあっという間の2時間半。



  • ♪愛と死の輪舞

  • ♪闇が広がる

更に毎公演アフターボーナスショーを実施。ディーヴァスペシャル、メンズスペシャルなど、各回テーマに応じたナンバーをセレクト。
5つのテーマと大千秋楽のみの特別カーテンコールの計6種あると聞けば、思わずコンプリートを狙ってしまうかも?
本編とはまた違った魅力を見せてくれるアフターボーナスショーにも期待!
大阪公演は、梅田芸術劇場メインホールにて7月11日(木)~15日(月)まで。
東京凱旋公演は、東急シアターオーブにて7月20日(土)~22日(月)まで。