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『DANCIN’CRAZY 2』公開舞台稽古観劇リポート

ダンスと歌、想いはひとつ


『DANCIN’ CRAZY 2』が、3月17日、大阪の梅田芸術劇場メインホールで開幕しました。1幕は本場ブロードウェイ版のフォッシー・スタイルを踏襲したミュージカル『CHICAGO』のダイジェスト版で、2幕は2007年に大浦みずきさんが中心となって上演、大好評を博した『DANCIN’ CRAZY』をバージョンアップ、宝塚OG達の底力が集結した作品に仕上がっています。


Act.1は、ミュージカル『CHICAGO』のダイジェスト版。役どころは、元ダンサーのヴェルマに湖月わたるさん、ライバルのロキシーに朝海ひかるさん、そして敏腕弁護士ビリーにはスペシャルゲストの姿月あさとさん、1998年当時の宙組メンバーの復活となります。湖月さん演じるヴェルマはアネゴ肌で艶っぽく、朝海さん演じるロキシーはしたたかで魅惑的。久々に男役を演じる姿月さんはタキシード姿で登場、男役の色気が漂います。


風花舞さん、星奈優里さんら女性役ダンサーは、見た目だけでなく目線や吐息などの細かな仕草にもセクシーさがにじみ出ます。2011年に宝塚を退団したばかりの珠洲春希さんや桐生園加さんらアンサンブルの13名のダンサー達は、群舞力が光ります。今回の『CHICAGO』は史上初、女性のみで見せるパフォーマンスとしても注目されていますが、キャスト達は男女の枠を超えて、プロの表現者としてスタイリッシュに存在していました。


Act.1終盤のヴェルマとロキシーによる〈ハニー・ラグ〉では、湖月さんと朝海さんが体の細部を巧みに動かしながら胸を張って踊ります。その姿は「だってゴールデンコンビだもん!」と言わんばかりに輝いていて、目が離せません。


 



Act.2は、ジャス、タンゴ、バレエなど多彩なダンスと歌で繰り広げられる約90分のオリジナル・ショー。湖月さんと朝海さんの「ゴールデンコンビ」が大評判となった『月夜歌聲』(2000年・雪組)は、演出を変えて同じ音楽で再現。青年(湖月さん)と娘(朝海さん)は、鏡から出たり入ったりしながら、互いに決して触れることはない。2人の重なる声だけが舞台上に響き渡り、だからこそ、その想いがより切ないものとなって観る者の心を揺さぶります。


『血と薔薇』では、朝海さんが金髪ショートカットの王子様のような姿で登場します。そこに星奈さんが寄り添い、薔薇を片手に妖艶なダンスを繰り広げます。夏目漱石の小説がベースの『夢十夜』は、湖月さん&風花さんのバレエ。湖月さんのダイナミックさと、風花さんのしなやかさが情緒豊かに溶け合います。


〈心の翼~フィナーレ~〉では、大浦さんが花組にいた頃の名曲を姿月さんが姿を見せずに歌います。舞台中央に差し込む一筋の光を軸にキャスト全員が祈るように囲み、大浦さんとの一体感を演出。「想い」を「歌とダンス」で表現しているキャストの姿は、観客の心にも深く染み入り、その強烈な共感(シンパシー)は涙を誘いました。


宝塚OGの底力を感じさせてくれる『DANCIN’ CRAZY 2』、キャスト達の想いがひとつにつながったダンス表現と歌声は、同じ空間を共有した人々の心にも力を与えてくれる、そんな舞台でした。


※撮影:村尾昌美
(取材・文/岩瀬春美)

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