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『DANCIN’ CRAZY 2』/Act.1『シカゴ』ミュージカル・セレクションズ 稽古場リポート

大ヒット・ミュージカル『シカゴ』が、新たな輝きと驚きとともに帰ってくる。今回は、劇中最強の見どころを詰め込んだダンス・コンサート形式。キャストは宝塚歌劇団出身の名ダンサー18名。…つまりは女性のみで贈る、世界初の『シカゴ』なのだ!


第1部で上演される『シカゴ』ミュージカル・セレクションズは、本場ブロードウェイ版の正式な許諾を受けた抜粋版。振付は全世界で上演されているものを踏襲し、黒一色の衣裳もオリジナルのまま。
ストーリーや役柄を生かした構成なので、物語としても楽しめる。文字通り〈いいトコ取り〉なのだ。


そうはいっても、優美できらびやかな宝塚出身の女優たちが、どうやって超絶にセクシーな『シカゴ』の世界に溶け込むのだろう。ドキドキしながら稽古場に入ると…そこには、いつも以上に大人っぽい輝きをまとう、ハンサムな女たちがいた。稽古場の中央にはNYからやってきた『シカゴ』全カンパニーの総振付責任者、ゲイリー・クリスト氏の姿もある。


この日は通し稽古。ピアノとドラムが華やかな序曲のリズムを刻み、キャストが一斉に踊り出す。独特のしなやかな手の動き。絡み合う視線。どこか猥雑で、しかも茶目っ気のある群舞。これぞフォッシー・スタイルのダンス!


そして “オール・ザット・ジャズ”の冒頭、空気がガラリと変わる。湖月わたる扮するヴェルマの登場だ。長い手足を細やかにたなびかせる彼女が、稽古場をジャズの音色が響き渡る夜の空気に染めていく。甘い歌声と黒のドレスは、宝塚を退団して5年を経た〈女優・湖月わたる〉の色気を存分に引き立てていた。


ヴェルマとライバル関係にあるのが、朝海ひかる演じるロキシー。普段は柔和な雰囲気の朝海だが、目の前にいるのはキュートな小悪魔の仮面をかぶった大人の女、ロキシーそのものだ。彼女が黒のボルサリーノ帽をかぶったボーイズ(演じるのはもちろん女性)を従えて踊るナンバーは、ゾクゾクするほどカッコイイ。


風花舞と星奈優里は、劇中9曲のうち、ほぼ出ずっぱりで圧巻のダンス・テクニックを見せつける。中でも“監獄タンゴ”の場面での女っぷりには、惚れ惚れすること請け合いだ。そして、〈法廷のプリンス〉こと男性弁護士ビリー役の姿月あさと。正統派のタキシード姿で美声を響かせる彼女の見事な存在感は、この世界初・女性のみの『シカゴ』ミュージカル・セレクションズが成功を収めるに違いないと確信させてくれる。


合い言葉は“LESS IS MORE”。わずかなものこそが、より多くを物語る──。抑制された動きは最上級のスリルをもたらし、シンプルな世界は目眩を誘うほどの輝きを生む。凝縮された時間の中には、無限大の歓喜が詰まっているのだ。〈至福の時間〉が、まもなく劇場空間にもたらされる…!



(取材・文=武次光世/Gene & Fred)

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