【キムラ家】
姉 ケイ(濱田めぐみ)
ケイコ・キムラ。日系二世。農場を経営するキムラ家の長女で、アメリカで生まれ育つ。物語冒頭の真珠湾攻撃勃発時は30歳。幼い頃に母を亡くしてからは父の仕事を手伝い、弟サミーの母親代わりのような存在になっている。
家族とともに移送されたハートマウンテン収容所*で日系二世のフランキーと出会い、恋仲になる。
家族を支えるために自分の気持ちや夢を抑えてきた彼女だが、フランキーに出会って自分を変えたいという思いを持つようになる。フランキーが率いる徴兵反対運動にも参加。
弟 サミー(海宝直人)
イサム・キムラ。日系二世。ケイの弟。真珠湾攻撃勃発時は22歳で大学を卒業して間もない頃だった。戦争が始まり家族が不安に駆られる中、アメリカ人としての忠誠を示そうと軍に志願するが、「日系人は敵国人扱いだ」と跳ね除けられてしまう。
収容所では生活環境改善のために署名活動をし、日系人たちで野球チームの結成やダンスパーティーを主催する。父タツオとは価値観の違いで度々ぶつかり合う。
日系人部隊の編成が決まると、アメリカへの忠誠を示し家族を収容所から救うためのチャンスだと考え兵役に志願する。第442連隊戦闘団*で勇敢に戦い、戦争のヒーローとしてライフ誌の表紙を飾った。
父 タツオ(渡辺徹)
ケイとサミーの父親。日系一世。20代で日本からアメリカへ渡り、カリフォルニアで農場経営者となった。大学卒業後のサミーには安定した将来のためロースクールへの進学を願っている。
収容所で配布された忠誠登録質問票*のアメリカへの忠誠を問う2つの質問にノーと答え、ツールレイク隔離センター*に送られてしまう。後にサミーの戦地での活躍に免じて釈放される。
“おじいちゃん” カイト(上條恒彦)
ケイとサミーの祖父、タツオの父親。タツオと共にアメリカへ移り住んだ。英語が得意でなく、ケイやサミーに助けてもらうこともしばしば。アメリカ生まれの孫たちに日本文化を教えてくれる存在でもある。
【収容所で出会う人々】
日系二世 フランキー(中河内雅貴)
フランク・スズキ。日系二世。日本学校の教師をしていた両親は真珠湾攻撃の翌日逮捕されてしまった。キムラ一家とはハートマウンテン収容所*で出会う。
国のために戦えば解放されると信じて戦地へ向かったサミーとは反対に、フランキーは自由を奪い家族を引き離したアメリカへ忠誠を誓うことに抵抗する。フランキーの元にも徴兵招集状が届くが、徴兵反対の暴動を起こし連邦刑務所へ送られる。
刑務所からケイに手紙を送りプロポーズする。
白人看護師 ハナ(小南満佑子)
ハナ・キャンベル。アメリカ軍の白人看護師。親の反対を押し切り軍に志願した。世界を見たいと夢見ていたが、日系人収容所へ配置された。
軍の教えにより日系人は敵と見なすべきと考えながらも、サミーに惹かれ恋仲になる。薬などの物資が限られていて心を痛めながらも日系人たちを助けるために尽力する。
【日系アメリカ人市民同盟】
政治活動家 マイク・マサオカ(今井朋彦)
実在した日系人で、日系アメリカ人市民同盟*事務局長。日系人の代表となり、政府と日系人の橋渡し的役割を担う。
日系人の社会的地位向上のため、二世にアメリカ市民として戦地で戦う権利を勝ち取るべく政府へ働きかける。
この作品はおじいちゃん役のオリジナルキャストで出演もした、ジョージ・タケイ氏と家族の実体験を元にしています。
「自分は何に”忠誠”を誓うのか?」
登場人物たちの複雑な思いが物語を展開させていきます。
関連用語解説
ハートマウンテン収容所
第二次世界大戦時、ワイオミング州にあった日系アメリカ人強制収容所。『アリージャンス』でキムラ一家が移送された収容所。
1942年10月時点で、アメリカ西海岸の居住者を中心に1万人以上が収容されていた。
他の収容所とは異なり徴兵抵抗運動が組織されたことで知られる。抵抗運動の組織者は扇動罪で連邦刑務所へ送られ、徴兵検査を忌避した者には懲役刑が言い渡された。
第442連隊戦闘団
第二次世界大戦中のアメリカ陸軍が有した連隊規模の部隊。ほとんどの隊員が日系アメリカ人により構成された。ヨーロッパ戦線に投入され、枢軸国相手に勇戦敢闘。アメリカ合衆国史上もっとも多くの勲章を受けた部隊としても知られる。特にその負傷者の多さから、「パープルハート*大隊」とまで呼ばれた。戦闘団は総計で18,000近くの勲章や賞を受けた。
1946年、トルーマン大統領はヨーロッパ戦線で大戦時のアメリカ陸軍部隊として最高の殊勲を上げた442連隊に対して、「諸君は敵のみならず偏見とも戦い勝利した。」と讃えた。
忠誠登録質問票(Loyalty Questionnaire)
1943年初頭に17歳以上の日系アメリカ人収容者全員に対して行なわれたアメリカ(政府)への忠誠心の調査。この調査の目的は日系人のアメリカへの忠誠心を図り知り、忠誠心を持った収容者に内陸部の地区での住居と仕事を供給すること、二世の男性達に兵役を与えることで日系人に対する世論の改良をはかること、そしてアメリカ政府に不忠実とみられる人物を隔離することだった。
忠誠登録の核となったのは2つの質問だった。
【質問27】
あなたは命令を受けたら、いかなる地域であれ合衆国軍隊の戦闘任務に服しますか?
【質問28】
あなたは合衆国に忠誠を誓い、国内外におけるいかなる攻撃に対しても合衆国を忠実に守り、かつ日本国天皇、外国政府・団体への忠節・従順を誓って否定しますか?
この2つの質問は日系人社会で大議論を引き起こし、コミュニティや多くの家族の中でも対立が生まれ、世代間の分裂も起こった。アメリカ生まれの二世達は、アメリカ政府から日本に忠誠心を持っていると思われたことに憤りを感じた。また、自分達を投獄した国のために戦えと言われ憤慨した者もいた。一世は、当時アメリカの市民権の取得を許可されていなかったため、日本との関係を否定することは無国籍状態につながったが、日本に忠誠を示せば、国外追放の危機にさらされるという状態に追い込まれた。怒りや抗議心から2つの質問に「No・No」と答えた者、親が解放されれば兵役に就くとした二世のように、条件付きで答えた人達も、全て不忠実というレッテルを貼られた。どちらか1つに「No」と答えた者も、抗議として答えること自体を拒否した者もいたが、それらもみな「不忠誠」とみなされた。
不忠誠の人たちは日系人全体からすると圧倒的少数で、大多数からは「裏切り者」のようにみなされ、戦後アメリカの日系人コミュニティにおいて、肩身の狭い思いをした人たちも多かった。
ツールレイク隔離センター
カリフォルニア州北部に日系人強制収容所の一つとして開設された。1943年の忠誠登録質問票の答えに基づいて、アメリカ政府が不忠誠とした人達のための隔離センターへと変更された。1943年9月に、元々ツールレイクにいた日系人で、政府によって忠誠心があるとされた人々は他の収容所へと転出し、他の強制収容所からは、不忠誠だとされた人達が入所して来た。
日系アメリカ人市民同盟(Japanese American Citizens League、JACL)
1929年にアジア系アメリカ人の権利を守る為に設立された団体。第二次世界大戦中の日系人強制収容時などに人権運動を行なっていた。
パープルハート勲章
アメリカ合衆国の戦傷章。戦闘を含む作戦行動によって死傷したアメリカ合衆国全軍の兵士に対して与えられる。『アリージャンス』ではサミーもパープルハート勲章を授与されている。